認知学習論 これからの教育と マルチメディア教育支援.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
第4章 何のための評価? 道案内 (4) 何のための評価? ♢なぜ教育心理学を勉強するか? (0) イントロダクション ♢効果的な授業をするために (1) 記憶のしくみを知る (2) 学習のしくみを知る (3) 「やる気」の心理学 ♢生徒を正しく評価するために ♢生徒の心を理解するために (5)
Advertisements

中学校段階での 相関関係の指導 宮崎大学教育文化学部 藤井良宜. 概要 現在の学習指導要領における統計の扱い これまでの相関関係の指導 相関関係の指導のポイント 相関関係.
教育と発達. 能力とは何か(まとめ) 能力=何かできること 教育との関連での条件 – 価値ある能力であること – 訓練で発達可能であること – 教えることが可能であること ふたつの階層性 – 価値的な階層 – 発達の規定性としての階層.
第 2 章 子どもの成長・発達と看護 3. 幼児期の子どもの成長・発達と看護( 2 ) 学習目標 1 .幼児の睡眠と規則正しい生活の必要性を理解する. 2 .幼児の健康維持に対する取り組みとしての清潔行動確 立に向けた援助を理解する. 3 .幼児にとっての遊びの意義と発達を促すために必要な 遊びへの援助を理解する.
痙直型四肢まひを持つ こどもさんのケアについて 大阪府理学療法士会 障害児保健福祉部 榎勢道彦. 地域の普通中学校 に通う 15 歳の男の 子 ゲームセンターに行ったり、キャンプに行っ たりと好きなことはたくさんあります。 最近ではパソコンが使えるようになったので、 メールやインターネットでの検索もよくやっ.
基礎セミナーA あなたが起業すると考えよう
第4章 「やる気」の心理学.
平成19年度長崎県国語力向上プラン地区別研修会
教育の情報化に関する手引のポイント 平成21年6月 平成21年度情報教育担当者研修
mukogawa-u.ac.jp/~kitaguti/
子ども達への科学実験教室の運営方法論 -環境NGO「サイエンスEネット」の活動事例をとおして- 川村 康文
富山大学教育学部 附属教育実践総合センター 助教授 小川 亮
ベースボール Chapter 8: Systems.
メニューの数学 Lauren Bartlett.
第3章 「やる気」の心理学.
教職院 ナッキョン 奈良市高畑町 得意: 授業での「つかみ」
柏市立中原小学校 西田 光昭 教育におけるタブレット活用の             課題と展望 柏市立中原小学校 西田  光昭
      特別支援学校 高等部学習指導要領 聴覚障害教育について.
eラーニングを活用した 盲ろう担当教員研修
自律学習と動機づけ 教育心理学の観点から 2011/2/19 上淵 寿 (東京学芸大学).
三重大学教育学部 附属教育実践総合センター 須曽野 仁志
教育心理学 第7回 子どもの発達(6): 社会性の発達.
ラーニング・ウェブ・プロジェクト(Learning Web Project) -自立・共愉的な学習ネットワークの形成に向けて-
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
認知カウンセリング 学習意欲改善に対する可能性.
森田 衛 国際交流基金 釜山日本語教育室 2014年 大邱中等日本語教育研究会研修会 2014年5月27日 大邱グローバル教育センター
応用情報処理V 第1回 プログラミングとは何か 2004年9月27日.
情報科学1(G1) 2016年度.
日本語教育グローバルネットワーク J-GAP
Ⅲ.サービス開発の方法.
ICT活用導入 -基礎計算の習熟のために-
慶應義塾大学環境情報学部 今井むつみ 学びの認知メカニズムと教育への示唆 慶應義塾大学環境情報学部 今井むつみ
文部科学省・大学共同利用機関 メディア教育開発センター 加藤 浩
応用情報処理V 第1回 プログラミングとは何か 2003年9月29日.
SS2009 形式手法の適用ワーキング グループの報告
ユビキタス社会における 学校と携帯電話の関係をさぐる
徹底活用するための校内研修パッケージ これから、「子どもの学びを支えるヒント集2」を活用した校内研修を始めます。
理論試験速報 理論問題部会長 鈴木 亨 先生 (筑波大学附属高等学校) にインタビュー.
認知学習論  ~学習とは何か~ 担当:今井むつみ.
認知学習論  ~学習とは何か~ 担当:今井むつみ.
情報科教育法 課題4 「情報科学習指導案」 2003/07/09 千葉佑介 野田誠遼平井亮自
夏のコンピューター学習会 WEBコンテンツ デジタル教科書 活用講座.
ICT活用指導力チェックシート(小学校版)
情報通信システム(13) plala. or 情報通信システム(13) 年7月24日 火曜日  午後4時10分~5時40分 NTT-TX Corp. 加藤 洋一.
子どもの育ちを支える教育 —発達にもとづき,発達を促すカリキュラムのあり方—
安全運転講習資料 九州大学大学院 システム情報科学研究院 志堂寺 和則.
執筆者:伊東 昌子 授業者:寺尾 敦 atsushi [at] si.aoyama.ac.jp
卒論の書き方: 参考文献について 2017年9月27日 小尻智子.
協働事業のあらまし 特定非営利活動法人 シニアボランティア経験を活かす会.
~研修テーマ~ 学校に整備されている ICT機器を知ろう 2019/2/ /2/
VBで始めるプログラミング こんにちは、世界。 /28 NARC.
日本語の仕組みと言語教育 前回のおさらい 1.
基礎プログラミング演習 第12回.
米国GAISEプロジェクトにおける 統計教育カリキュラムと評価方法
6.特別支援教育における ICT活用授業 3 教科指導におけるICT活用 ここでは、特別支援教育における ICT 活用授業について学びます。
柏市立土南部小学校 教諭 西田 光昭 情報モラル指導 やれば変わるきっかけに 柏市立土南部小学校  教諭  西田 光昭
ICTを活用した授業づくり ②教材研究・指導の準備や 評価にICTを活用する
自然言語処理2015 Natural Language Processing 2015
教科書と参考書からみた学習の過程 1班 佐々木勇希 佐藤翔太 渡邊久里子
教育と発達.
豊後大野市立百枝小学校 情報推進化リーダー 日浦 賢一
知的CAIの基本構成 ① 専門知識 ・・・ 学習の対象となる分野の知識。 ② 学習者モデル ・・・ 学習者の理解状態や過程など を表現。
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
仮説演繹法 思考 経験 問題 : あるべき姿と現状のギャップ 課題 : 問題解決のために成すべきこと 問題 19世紀 あるべき姿(予想)
自然言語処理2016 Natural Language Processing 2016
テクニカル・ライティング 第4回 ~文章の設計法「KJ法」について~.
感覚運動期(誕生~2歳) 第1段階 反射の修正(出生~約1ヶ月) 第2段階 第1次循環反応(約1ヶ月~4ヶ月)
メンタルフレンドについて 福島大学総合教育研究センター   中野 明德.
Presentation transcript:

認知学習論 これからの教育と マルチメディア教育支援

認知的学習と教育 内発的動機づけ 概念変化 発達最近接領域(Zone of Proximal Development) 外的報酬では真の学習をもたらさない 概念変化 人が素朴に誤認識を修正するには概念変化が必要 しかし概念変化は簡単には起こらない 発達最近接領域(Zone of Proximal Development)

学習者の自発的学習をはぐくむ教育 内発的動機づけ、概念変化、発達の最近接領域の3つのキーワードを取り込んだものであるべき

概念変化を助けるには 留意事項 子どもが当該の領域についてどのような認識(メンタルモデル)を持っているか それが科学的に正しいモデルとどのように矛盾しているか

概念変化を助けるには 留意事項(2) 当該の教科内容が適切なレベルにあり、子どもにとって認知的準備ができている状態(Zone of Proximal Development)にあるか どのようにしたら子どもに自分の誤認識を自発的に気づかせることができるか?

動機づけを高めるには 学習活動に「意味」をもたせる コラボレーション 細切れの互いに関係ない、文脈のない問題を解くことの連続ではなく、日常生活場面に即して子どもが問題解決を必要とする場面を設定する。 コラボレーション ただしコラボレーションの質は重要

マルティメディア マルティメディアをどのように生かすか アメリカVanderbilt大学のJasper Project 数学だけでなく理科など他領域の科学の知識学習もリンクさせる クラスルームで教材として用いて、クラス(あるいはグループ)でJasperになりかわって問題解決

何故学習が文脈に埋め込まれないといけないか 子どもは問題解決の意味が見いだせない算数の文章題は足し算、かけ算、わり算などの自分が知っている演算に機械的に数字を放り込むことしかしない

子どもの算数の文章題の 解決例 典型的な答えは8+9+4=21 トニーはサマーキャンプにバスで行きます。バスには彼の他に8人の子どもが乗っていました。バスは一時間に9マイルの速度で走り、4時間かかりました。キャンプは彼の家からどれだけ離れていましたか? 典型的な答えは8+9+4=21 Q:何故みんな足したの? A:Howって聞かれたら、足すことになっているから。

解決例(2) 「船には26匹の羊と10匹のやぎがのっています。船長の年は何歳ですか?」 3/4の子どもは問題が意味をなさないことに気づかず、26と10を足したり、引いたり、かけたり、わったりして、なんとか数字で答えをだそうとした。

何故学習が文脈に埋め込まれないといけないか(2) しかし日常的には数学を使った問題解決を必要とする場面は非常にしばしば存在する。 朝8:30に町の反対側にあるレストランに行くには? レストランは何キロ離れているか? 何時に家を出て、時速何キロの速度で運転すればよいか?

文脈を超えて しかし、特定の文脈でのみ数学の問題解決ができるのでは不十分。 文脈の埋め込まれた問題解決を数多く経験することを通じて知識が構造化、再記述化されて、異なった文脈で、それぞれに必要とされる演算を即座に発見し、柔軟に問題解決ができるようになることを目標としなければならない。→宣言的知識の手続き化

文脈を超えて(2) マルチメディア教材はそのためのアンカーとして使われるべき(マルチメディアを使うこと自体を目的にしてはならない) マルティメディアを使うことで動機づけを高める効果はあるが、長期的な、よく練り上げられたコンテンツを支える道具として使われないと長期的な効果は薄い。

参考になるWeb Pages Jasper project http://peabody.vanderbilt.edu/projects/funded /jasper/Jasperhome.html http://peabody.vanderbilt.edu/projects/funded /jasper/intro/Jasperintro.html Northwestern Covis Project,Letus Project http://www.covis.nwu.edu/geosciences/activities /projects/what-is-a-project.html http://www.letus.org/

つづき Skymath Project コンピュータを用いた教育プログラムリンク集 http://www.unidata.ucar.edu/staff/blynds/ Skymath.html コンピュータを用いた教育プログラムリンク集 http://jun.on.arena.ne.jp/playlink.html