日語課程設計與研究 (大学院) 2月15日(水・三)~ 担当 神作晋一
台湾における日本語習得 許夏佩(東呉大學) 『多様化する言語習得環境とこれからの日本語教育』 坂本正 小柳かおる 長友和彦 畑佐由紀子 村上京子 森山新 スリーエーネットワーク 2008年
1.日本語教育の概況 総人口に占める日本語学習者の割合が高い。 中国と台湾は別々に考える必要がある。 高等教育機関における学習者(機関数、教師数)が多い。 日本語学科が増えている 教師は博士号取得が条件
1.日本語教育の概況 民間の教育機関(補習班)の役割 能力や専門知識に差がある 日本語学習誌や日本語教材の充実 多様化(たようか)
2.外国語としての日本語の習得 2.1 学習環境 2.2 学習者特性、学習目的
2.1 学習環境 地理的な近さ 国語・台湾語・客家語が日常言語 観光や経済 日本の番組専門のTV局 植民地時代の影響 教室が主な習得場所 2.1 学習環境 地理的な近さ 観光や経済 日本の番組専門のTV局 植民地時代の影響 国語・台湾語・客家語が日常言語 教室が主な習得場所 (自然習得ではない)
2.1 学習環境 インプット 例:中国語の字幕 (機会や材料を)利用しない アウトプット 教室外での使用機会が少ない
2.2 学習者特性、学習目的 日本の流行を追いかける若者 2003年→2006年に機関数、教師数、学習者数とも1.5倍前後増加している 2.2 学習者特性、学習目的 日本の流行を追いかける若者 「哈日族」 ファッション、音楽など 中学校?(高中、高職のことか) 例:台北第一女子中学(高校) 2003年→2006年に機関数、教師数、学習者数とも1.5倍前後増加している 2009年はさらに上昇、2012年は? 学習動機 日本語や日本文化への興味 就職・資格・留学など実利的なもの 学習者自身の意志で自主的に
付録 2009年時点の動向
3.中国語母語話者にとって習得しにくい日本語 3.1 音声 3.2 語彙 3.3 文法 3.4 談話展開 3.5 社会言語的知識
3.1 音声 有声破裂音(b、d、g)の有無 有声・無声破裂音の知覚・発音 北京語 なし 有気音(ph th kh) 上海語 あり 3.1 音声 有声破裂音(b、d、g)の有無 北京語 なし 有気音(ph th kh) 上海語 あり 有声・無声破裂音の知覚・発音 学習環境による違いはあまりない(難しい) 母語の影響が大きい
3.1 音声 モーラ アクセント 母音の無声化 東西 例:「安心あんしん」 日本語4拍、中国語2拍 支障は少ないが、修正は困難 3.1 音声 モーラ 例:「安心あんしん」 日本語4拍、中国語2拍 アクセント 支障は少ないが、修正は困難 アクセントの型とリズム(モーラ) 母音の無声化 東西 中国北方方言との違い 軽声 無声化事体には議論もある
3.2 語彙 日本の漢字に違和感なし 発音や意味の差に注意せず誤用を犯す傾向 漢字指導はあまりない 字形学習の労力は少ない 3.2 語彙 日本の漢字に違和感なし 漢字指導はあまりない 字形学習の労力は少ない 発音や意味の差に注意せず誤用を犯す傾向 中国語の語彙をそのまま使用 例:親切
3.2 語彙 漢語(日本語)と中国語の対応 漢語の観点からの対象研究・習得研究 同形同義語でも品詞が違う (充実:名詞とナ形容詞) 3.2 語彙 漢語(日本語)と中国語の対応 同形同義語でも品詞が違う (充実:名詞とナ形容詞) 日中両語での使い方の相違を強調 漢語の観点からの対象研究・習得研究 字形と語彙情報
3.3 文法 正の/負の:転移 文法の相違における正と負の転移 アスペクト(テイル・テイタ) 助詞の習得 結果状態は困難 3.3 文法 正の/負の:転移 文法の相違における正と負の転移 アスペクト(テイル・テイタ) 結果状態は困難 日本で学ぶ学習者は正しくなる傾向 母語の影響 助詞の習得 日本語のてにをはと対応しない。 その他の文法事項との兼ね合い
3.3 文法 指示詞コソア ソが使いにくい *(あなたの)この服、いい色ですね
3.4 談話展開 あいづちの違い 本来は親疎や上下関係によって使い分ける。 敬意の違いなどを意識させる必要 3.4 談話展開 あいづちの違い 本来は親疎や上下関係によって使い分ける。 中国語・台湾語などではあまり区別がない。 無礼な印象を与えたり、コミュニケーションに支障が。 敬意の違いなどを意識させる必要
台湾語 理解語彙・言語 使用語彙・言語 友人同士 学校 中国語(国語) 家庭・近所 台湾語 使い分け コード・スイッチング 友人同士 学校 中国語(国語) 家庭・近所 台湾語 使い分け コード・スイッチング Cord Switching
(コミュニケーション)能力 例:ネウストプニー ①言語能力 ②社会言語能力(コミュニケーション) ③社会文化能力(インターアクション) (場面や状況によって使い分け) ③社会文化能力(インターアクション) (言語を使って)目的を果たす。実質行動 文化的背景を考慮する。 ⇒③→②→①の順で重要(ネウストプニー)
なぜ③→②→①の順で (1)実質行動がコミュニケーションの話題になる 例:野球についての話題 (2)コミュニケーションを伴わない実質行動とコミュニケーション行動とが同じ場面で混じることが多い。 例:レストランでの注文など (3)すべてのコミュニケーションが実質行動から出発する。
3.5 社会言語的知識 「依頼」「断り」「謝罪」 母語の言語社会ルールを適用 3.5 社会言語的知識 「依頼」「断り」「謝罪」 行為要求・文末言い切り → 間接的依頼・理由説明(~んですが) の形式へ 中国では互恵性(give and take) 日本では、婉曲的・間接的 母語の言語社会ルールを適用
3.5 社会言語的知識 待遇表現を実際に使用・運用する機会がほとんどない。 映像教材などを用いて内省を促すような対策を。 3.5 社会言語的知識 待遇表現を実際に使用・運用する機会がほとんどない。 相手の社会的立場を理解することが難しい 映像教材などを用いて内省を促すような対策を。 テレビドラマなど
4.外国語環境における教室指導 目標言語を学ぶ動機や目的 学習者自身の問題→ビリーフ信条確信信念 台湾の調査結果 香港→伝統的教授法を学習者が重視 日本人教師と中国人教師で考えの違い 台湾の調査結果 服部(2002)、忍耐強い・環境づくり 学習者の特質を生かした教授法 インプットの促進のために日本人教師による理解可能な日本語での授業も必要。
5.今後の課題 言語運用における的確な指導が必要。 接触場面の不足の対策 機関同士の交流がほとんどない 専門外の博士による指導 言語行動をビデオや音声教材で 機関同士の交流がほとんどない 交流協会や支援機関 専門外の博士による指導 教師研究の機会