社会的な見方・考え方を深める 子どもの育成 第6学年 社会科 「新しい日本をつくる ―大久保利通―」の実践を通して 富山市立豊田小学校 八木 道子
研究内容と方法 1 問題意識を生みだす導入の工夫 2 問題意識を持続し、考えを構築できるようにするひとり学習での支援 1 問題意識を生みだす導入の工夫 幕末の人々の思いを考える 大久保利通の肖像画から イメージを膨らませる 2 問題意識を持続し、考えを構築できるようにするひとり学習での支援 ノート指導 対話 3 社会的な見方や考え方を広げ、深める 話し合い学習 話し合い後のノート 考えと根拠を伝える
A児の学び 1学期の社会科の学習では・・・ A児のふだんの姿 ・弟思い ・歴史的事象について、為政者の立場よりも、犠牲になった人々や、民衆の立場から考えようとする。 A児のふだんの姿 ・弟思い ・下級生にも優しい ・進んで働く ・ボランティア委員長 社会的な見方・考え方の深まり ・大久保の政治の意味を、時代背景を踏まえて、民衆と為政者の両面から、考えることができるようになった。 ・さらに、大久保の人間性にまで寄り添って考えることができるようになった。
1 問題意識を生みだす導入の工夫 ① ペリー来航の絵を見て、幕末の人々の思いを想像し、話し合う。 1 問題意識を生みだす導入の工夫 ① ペリー来航の絵を見て、幕末の人々の思いを想像し、話し合う。 ② 大久保利通の肖像画を見て、思いついたことを自由に話し合う。 幕府 ・あの大砲!戦争が起こったら支配されるかも。 若い武士 ・アメリカにはかなわないから幕府を倒そう。 A児の課題 大久保利通は何をして日本をつくったのか。
2 問題意識を持続し、考えを構築できるようにする ひとり学習での支援 2 問題意識を持続し、考えを構築できるようにする ひとり学習での支援 大久保は明治天皇をあやつっている。 A児との対話 なんとなくそう思った。 大久保は17歳の若い天皇を中心にしているから、大久保が天皇をあやつろうとしているように感じた。 おもしろい気付きだね。どうして、こんなふうに思ったの? 天皇は17歳ってノートに目立つように書いたんだね。 その子なりの気付きを大切にする 言葉に表れない考えの根拠を言語化する
2 問題意識を持続し、考えを構築できるようにする ひとり学習での支援 2 問題意識を持続し、考えを構築できるようにする ひとり学習での支援 大久保は天皇だけでなく国民まであやつっている。 A児との対話 四民平等とは、天皇中心に国民が協力し合うことと書いてある。大久保は若い天皇をあやつろうとしていたから。 こんなふうに考えるなんて驚いたなあ。なんで、そう思ったの? ・・・わからない。 あやつってどうしたかったの? 大久保の思いのままになる国とはどんな国なんだろう? 大久保の目指した国について 踏み込んで考えようとするA児
ひとり学習で考えを構築していったA児 A児の課題 大久保利通は何をして日本をつくったのか 大久保は明治天皇をあやつっている。 四民平等 A児の課題 大久保利通は何をして日本をつくったのか 大久保は明治天皇をあやつっている。 五箇条のご誓文 大久保は天皇だけでなく国民もあやつっている。 大久保の思いのままになっている。 四民平等 課題の進化 大久保の思いのままになる国とはどんな国? 外国に負けない国 徴兵制
大久保の目指した国について考えが変わるA児 3 話し合いによって 社会的な見方・考え方を深めたA児 大久保はどんな国をつくろうとしたか 第1回・第2回 大久保は本当に外国に負けない国をつくりたかったのかな。 自分の考えを見直すA児 人々はどう思っていたのか 第3回 大久保は、国をまとめて、日本の土台をつくりたかったんだ。 農民の不満 大久保の目指した国について考えが変わるA児 士族の不満 大久保は国民のためを思っているのに、反発されてかわいそうだ。 第4回 不満をもつ人々がいても新しい国をつくった大久保 大久保の思いに共感し考えを深めるA児
A児を第一発言者にする。 四民平等 五箇条のご誓文 徴兵制 官営工場 日本の土台をつくった 大久保はしっかりとした日本の土台をつくりたった。 大久保はしっかりとした日本の土台をつくりたった。 人々に迷惑をかけたけど、そこまでして土台をつくろうとした。 四民平等 五箇条のご誓文 徴兵制 官営工場 天皇中心に 国民をまとめる 産業の育成 外国に戦争で負けないようにする 日本の土台をつくった 人々が不満をもっているのに、国はひとつにまとまらないよ
国民が満足できないと・・・人々が不満ならまとまらないって・・・だからかわいそうだなと思います。 人々が不満をもっているのに、国はひとつにまとまらないよ A児 国民が満足できないと・・・人々が不満ならまとまらないって・・・だからかわいそうだなと思います。 国民のことを思って努力しているのに、理解して もらえず、反発される大久保の気持ちに寄り添うA児
明らかになったこと 1 歴史を動かした人物や、その時代のイメージを想像することにより、問題意識を生みだすことができる。 1 歴史を動かした人物や、その時代のイメージを想像することにより、問題意識を生みだすことができる。 2 ひとり学習では、考えを言語化することによって、子どもは自分の考えを明らかにすることができる。その子なりの気づきや考えを認め、根拠を問うことにより、子どもは問題意識を持続し、考えを構築することができる。 3 子どもたちの考えの変容をつぶさにとらえながら意図的に話し合い学習を設けることによって、子どもたちは多面的に考え、社会的な見方・考え方を深めることができる。