3次関数・4次関数の極値に 関する高専1年生の発見 一関工業高等専門学校 梅 野 善 雄 2004年数学教育の会、夏の集会 H16.9.5
関数の授業と数式処理電卓 平成15年度の1年関数の授業で使用 夏季休業前に貸与 グラフ機能の利用法を説明 学生は、主に、グラフの確認に使用 試験時の使用は認めない
自由研究 幾つかの課題の中から一つを選択させ 数式処理電卓を利用して、 各自の考察結果をまとめさせた 定型的な問題解法とは異なり、 どのような問題意識のもとに、 何を、どのように考えるかが重要となる
学生に課した自由研究の一例 次の関数のグラフは、 がどのようなときに、どのようなグラフになるかを調べよ。 考察期間は、1ヶ月を与えた。
まとめ方に関する注意 まとめ方は各自の自由でよい。 どのような操作をしたら、 どのような結果が表示されて、 どのような操作をしたら、 どのような結果が表示されて、 そのことからどのようなことを思い、 どのようなことを予想し、 その予想をどのようにして確かめたか、 あるいは確かめようとしたが、 何が障害になって確かめられなかったか、 という各自の思考の経過をまとめればよい。
こちらの意図したこと こちらの意図は、以下のことにあった のとき等による、 グラフの基本パターンの場合分け (1)(3)は、 軸との共有点が こちらの意図は、以下のことにあった のとき等による、 グラフの基本パターンの場合分け (1)(3)は、 軸との共有点が であることへの気づき (2)(4)は、グラフの形状変化と判別式の符号との関係への気づき を得させよう、ということ。
指摘されてきた事項(1) は、 軸との共有点である。 グラフの基本パターンの場合分け。 は、 軸との共有点である。 グラフの基本パターンの場合分け。 を同じ数だけ変えると、 グラフは横にずれる 山や谷の 座標は変わらない のどれか1つが0だと、原点を通る
指摘されてきた事項(2) の符号が逆だと原点に関して対称 で のとき、山や谷の 座標の絶対値は等しい で が複素数のとき、 が の符号が逆だと原点に関して対称 で のとき、山や谷の 座標の絶対値は等しい で が複素数のとき、 が 以外のときグラフは表示されない のどれか2つが等しいと、そこで 軸と接する
熊谷一生君のレポート 軸との交点が なので、交点が2重、3重になっているため 軸と交わる点が減っているのではないかと思った
3次関数の平行移動 3次関数でも の平行移動で、グラフの求め方が簡単になるのではないか? 3次関数でも の平行移動で、グラフの求め方が簡単になるのではないか? 2次関数の標準形を求めるようにすれば求まるのではないか。 そこで、 から始めて同様の変形をしてみた。
変形結果(1)
変形結果(2)
個々のグラフを描いてみる
グラフから分かること の の部分に の1次式が 含まれているのでグラフが違う ③の波の打ち方には、1次式②が関係している の の部分に の1次式が 含まれているのでグラフが違う ③の波の打ち方には、1次式②が関係している 1次式②の傾きが0のときは、③グラフは のグラフと同じ形になる ③のグラフの形は、1次式②の傾きが関係する の の部分に が含まれてはいけないので、 を含む項を に含めて 考えることにした
平行移動に関する結論 のグラフは を、 軸方向に 軸方向には だけ平行移動したものである。
のグラフ 波の打ち方は の が関係する の場合は、波は打たなかった も も増加関数だからと考えられる の場合は、波を打ち始めた 波の打ち方は の が関係する の場合は、波は打たなかった も も増加関数だからと考えられる の場合は、波を打ち始めた は増加、 は減少だからと考えられる
ある不等式の発見 のグラフで波を打たないものはなかったので、 と予想したが、証明できなかった
極大値と極小値
自由研究は、やっているうちにどんどんおもしろくなり、 めちゃくちゃ頑張りました。
自由研究の感想(1) 数学は奥が深いなあと思いました。 問題を解くのではなく、自分で発見するところが苦労でもあり楽しかった。 通常の課題の倍以上の時間がかかった。その分、自分で何かを発見できたりするとうれしかった 考えても疑問がまた出てきて、またそれについて考えるのが楽しかった。 数学とは、調べてみると沢山のことが発見できるんだと思いました。
自由研究の感想(2) 普段あまりしない「良く見て考える」といったことを する機会になったと思う。 ただの式だけだとやる気がしない課題でも、 数ナビのグラフ機能を使うと分かりやすいし、 楽しいのでやりがいがあった。 解説プリントでは、すごい発見をしている人が いることが分かって、自分ももう少し頑張れば 良かったと思った。 まったくできなかったので、とてもつらかった。
今後、検討されるべきこと 自由な発想を引き出す研究テーマの設定 提出されたレポートの評価方法 提出後の学生へのレスポンスの仕方 テクノロジー利用で、誤った理解を得る 場合がある 課題をこなしきれない学生への配慮 いずれも、今後の課題としたい
テクノロジー利用による誤理解