第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで

Slides:



Advertisements
Similar presentations
資本市場論 (9) 債券投資分析 - 金利の期間構造 - 三隅隆司 1. 短期金利と長期金利の関係 1990 年 12 月 1994 年 6 月 1992 年 4 月 1993 年 2 月 1996 年 6 月 1999 年 1 月 1994 年 1 月 日本銀行 HP のデータより作成 2 はじめに.
Advertisements

終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
『マクロ金融特論』 ( 2 ) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論
マクロ経済学初級I タイプIIクラス 白井義昌
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第 9 回 畑農鋭矢 1. 貨幣の役割 価値尺度 財の価値を表す共通の尺度 交換手段 物々交換⇒欲望の二重の一致 貨幣によって交換が容易に 価値の保蔵手段 安全資産としての保蔵手段.
短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
貨幣について. 講義概要 貨幣の概念 名目と実質貨幣ストック 貨幣に対する需要 政府による金融政策.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
金融経済論(小川英治) 1 貨幣の機能と貨幣需要. 金融経済論(小川英治) 2 貨幣の機能 計算単位(価値尺度) 交換される商品の価値をある貨幣の数量で 一元的に表示する機能 交換手段 貨幣がすべての商品と交換され、すべての 商品の交換の媒介となる機能 価値貯蔵手段 貨幣が一定の価値を少なくとも一時的に蓄.
入門B・ミクロ基礎 (第4回) 第2章 2014年10月13日 2014/10/13.
第4章:資産価格とそのバブル P.115~137 08bc134k 畑 優花.
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
世界ソブリンバブル衝撃のシナリオ 第8章国債バブル崩壊のシナリオ
マクロ経済学 I 第4章 久松佳彰.
第6章 閉鎖経済における短期のマクロ経済理論
第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで
労働市場マクロ班.
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第11回 畑農鋭矢.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
第3章 実態経済に大きな影響を及ぼす金融面の動向
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
量的質的金融緩和は 日本にとってプラスか? 否定派.
貯蓄税導入の是非 ~否定派~ 松村・田邉・川村・藤山.
第2回 均衡の安定性.
第8回講義 文、法 経済学 白井義昌.
7: 新古典派マクロ経済学 合理的期待学派とリアル・ビジネス・サイクル理論
マクロ経済学 II 第9章 久松佳彰.
America Policy アメリカ経済の「今」とは (将軍) 米谷小春 (総督) 庄子祐衣 (キャプテン) 櫻庭利騎
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
金 融 統 計 金融市場の基本概念 金融統計の体系 マネーサプライ統計 金利統計 資金循環分析 証券投資分析.
経済学入門8 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2007年6月22日
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
第4章 IS-LMモデル 労働市場との関係 IS・LMの交点(Y0, i0)は財市場と貨幣市場において,それぞれ需給均衡が達成しているが,労働市場において需給均衡を保証していない。 例えば,賃金の硬直性などの理由により,非自発的失業者が存在する可能性は十分にある。 完全雇用GDPがYFであるとすると,この経済にはY0YFに相当する所得不足が存在することになる。この不足は有効需要の不足によって発生したものである。
短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル
VARモデルによる分析 高橋青天ゼミ 製作者 福原 充 増田 佑太郎 鈴木 茜
マクロ経済学 II 第5章 久松佳彰.
硬直価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
伸縮価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マクロ経済学初級I 第2回 市場取引 需要と供給.
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第4回.
© Yukiko Abe 2008 All rights reserved.
経済学とは 経済学は、経済活動を研究対象とする学問。 経済活動とは? 生産・取引・消費 等 なぜ、経済活動を行うのか?
丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年6月8日
動学的一般均衡モデルについて 2012年11月9日 蓮見 亮.
第10回講義 文、法 経済学 白井義昌.
貨幣の流通速度 貨幣が平均して1年間にいくつの経済主体 の間を移動するのかを表わす MV=取引総額(年間) Vは流通速度あるいは平均回転率.
V. 開放経済のマクロ経済学.
VI 短期の経済変動.
V. 開放経済のマクロ経済学.
第8回講義 マクロ経済学初級I .
マクロ経済学体系のフローチャート 財 市 場 (IS曲線) IS・LM モデル 総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定 インフレと
金融政策と貸出金利 講義⑮ 目次 設備投資の変化要因 「市場金利」って何?!?! 借入金利とリスクプレミアム 市場金利と短期金利
日本の経常収支黒字  → 外国に失業輸出? 高齢化の進展 → 日本の国内貯蓄超過の減少         → 日本の経常収支黒字は減少へ.
貨幣供給・需要 専修大学 経済の世界 作間 逸雄.
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
第5章 貨幣と金融市場.
7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓
岩本 康志 2013年5月25日 日本金融学会 中央銀行パネル
第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで
経済学(第7週) 前回のおさらい 前回学習したこと(テキストp.16,19) ◆ マクロ経済学における短期と長期 ◆ 完全雇用とはなにか ◆ 短期のマクロ経済モデルの背後にある考え方 (不況の経済学/有効需要原理) ◆ 民間部門はどのように消費や投資を決定するか ◆ ケインズ型消費関数とはなにか ◆
12章 貨幣量の成長とインフレーション 1.インフレーションの古典派理論 物価水準と貨幣の価値は逆数の関係
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
IV 長期における貨幣と価格.
Presentation transcript:

第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで 第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで A班 天野、菊地、寺内、     宇野澤、晒名、青木 2013.11.20

~4章で述べたいこと~ VS デフレ脱却の根拠として 貨幣数量説が挙げられる。 貨幣数量説は不成立」 “貨幣数量説は正しいか?” 答え ~4章で述べたいこと~          デフレ脱却の根拠として (物価下落)  貨幣数量説が挙げられる。 (物価は貨幣数量に比例)            4章の問い           “貨幣数量説は正しいか?”     答え                               ・・・正しくない            それはなぜか?を説明するために・・・ 1節 貨幣数量説について(概要と批判)            2節 「ゼロ金利でも貨幣数量説は成立」の裏付けとなった      クルーグマン・モデルについて 3節 クルーグマンモデルの問題点・批判 しかし「ゼロ金利の時は 貨幣数量説は不成立」 と、反対する学者もいる VS

貨幣数量説って何? 「貨幣数量方程式」 byフィッシャー MV=PQ ・・・① 「貨幣の需給均衡式」 byマーシャル M=kPY ・・・② 1節 貨幣数量説について 貨幣数量説って何? 「貨幣数量方程式」 byフィッシャー       MV=PQ    ・・・① 「貨幣の需給均衡式」 byマーシャル       M=kPY    ・・・②  M:名目貨幣数量 P:一般物価水準 V:貨幣の流通速度 Q:実質的な取引量  Y:実質所得(GDP) k:貨幣の流通速度(マーシャルのk)

1節 貨幣数量説について ①にとき… Vは一定,Qも完全雇用水準で与えられると仮定 ②のとき… Kは一定,Yも所与と仮定 ⇒いずれの場合もPはMに比例する! =「ある国の物価水準は、その国に流通している貨幣の量に比例して決まる」ということ。 (ex; 貨幣が2倍になれば物価も2倍になる。)

1節 貨幣数量説について っということは、 学者「デフレだからマネーサプライを増やせばデフレ→インフレになるんじゃ?。。。」 But!!!!! 長期的にみて取引量(Q)が一定で貨幣の流通速度(V,k)も一定という仮説は× Because ①日本の最近の経済成長率こそゼロに近いが、依然として成長を続けている ②貨幣の流通速度は長期的には低下(マーシャルのkは上昇)を続けている。

1節 貨幣数量説について 相対価格:財Aで測った財Bの相対価格とは、財 単位と交換される財Aの量である。 絶対価格:貨幣価格ともいう(=物価) サービスの価値を貨幣額で表示したもの。 ・デフレ=貨幣的現象だからマネーサプライなどの金融政策によって決まる。 ⇒相対価格と絶対価格を区別することが重要

ポールの積み上げ批判論 需要が増えれば「相対価格」は上昇する マネーサプライが増加すれば「絶対価格」が上昇する 1節 貨幣数量説について  ポールの積み上げ批判論 需要が増えれば「相対価格」は上昇する マネーサプライが増加すれば「絶対価格」が上昇する ⇒ある財の相対価格が上昇するためには ①ある財の絶対価格が上がる ②他のすべての財の価格が下がる Ex:野球選手の年俸 But 常識的に考えて普通の人は②のことなんて考えていない! ⇒①でなければ価格のもつ情報価値はなくなってしまう。

外生的貨幣数量説は正しくない 外生的な貨幣数量説は、デフレの解決の説明には不完全である。 <外生的貨幣数量説> 1節 貨幣数量説について 外生的貨幣数量説は正しくない 外生的な貨幣数量説は、デフレの解決の説明には不完全である。 <外生的貨幣数量説> M(マネーサプライ)×V(貨幣の流通速度)=P(一般物価水準)×Q(取引数量)・・・貨幣数量方程式 →「物価はマネーサプライに比例する」ことが、 外生的貨幣数量説の命題(意味) つまり、マネーサプライを増やせば物価が上がる、という意見

1節 貨幣数量説について 内生的貨幣数量説とは 筆者は内生的貨幣数量説を支持している。 ◆内生的貨幣数量説とは、外生的貨幣数量説の逆パターンであり、季節的背景や世界情勢など何らかの影響で物価P、取引数量Qが先に決まったとする。このときMV=PQが満たされるように、貨幣数量Mが決まる。

両者の比較 外生的貨幣数量説 内生的貨幣数量説 1節 貨幣数量説について 両者の比較 外生的貨幣数量説 内生的貨幣数量説 ①マネーサプライを中央銀行が増やしたり減らしたりすることで、物価が決まる。 →M(貨幣数量)を先に決める *現実の世界では貨幣供給を増やしても、日銀が直接関与できるのは民間銀行の預金準備に留まり、あまり機能しない。 ①何らかの事情(季節etc)で物価や取引量が決まる。それに応じて、貨幣数量が定まる。→P(物価)・Q(取引数量)が先に決まる

内生的なマネーサプライという考え方 フィッシャー・ブラックもまた、内生的貨幣数量説を支持している。 1節 貨幣数量説について 内生的なマネーサプライという考え方 フィッシャー・ブラックもまた、内生的貨幣数量説を支持している。 「アメリカのような経済では金融政策は完全に受動的だ、と私は考えている。価格あるいは所得が上昇したときに貨幣は増える。なぜならそうした時には貨幣に対する重要が増えるからだ。」(p111 一部抜粋) ここにあるように、ブラックは物価の動きは期待によって決まるという部分は筆者とは異なるものの、貨幣数量は受動的に決まる、ことに関しては筆者と同意見である。

フィリップス・カーブ ・価格の動きをマネーから離れた所から導くロジックの補強案として筆者が挙げたグラフ。 1節 貨幣数量説について フィリップス・カーブ ・価格の動きをマネーから離れた所から導くロジックの補強案として筆者が挙げたグラフ。 ・ケインジアンが手にしたマネーから切り離された価格決定ロジック。 ・縦軸:インフレ率(物価上昇率)  横軸:失業率 ・短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線である。

マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間 1節 貨幣数量説について マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間 日本以外の先進国では、テーラー・ルールに基づく金融政策によって  物価の安定と順調な経済成長(1990-2000) 日本では、バブル崩壊後 経済が低迷(唯一例外) ⇒1999年2月、コールレートがゼロの「ゼロ金利」 景気が過熱すれば、金利を上げる 不況の時には金利を下げる ゼロ金利が奪う ゼロ金利の下での金融を「緩和」 =マネーサプライを増やす=量的緩和 デフレを止める・・・マネーサプライを増やす テーラー・ルールのように金利を下げる 名目金利はゼロ以下に下がらない

マネーは効かない 日銀が直接的に関与=ハイパワード・マネー (民間銀行の預金準備) 小宮 先行き資金需要の増大が予想される際 1節 貨幣数量説について マネーは効かない 日銀が直接的に関与=ハイパワード・マネー (民間銀行の預金準備) 小宮 先行き資金需要の増大が予想される際 ⇒超過準備を持つのは 合理的 ※短期金利がプラス&変動が大きい ゼロ金利下では、短期債権の流動資産を日銀当座預金に換えられる ⇒「資本損失」「売却損」は考えなくてよい ⇒超過準備は基本的に必要ない ・・・資産運用対象なし コストもゼロ MB供給変化なし

マネーサプライを増やせば、デフレが止まるという考え ⇒データによる裏付けを欠いている 1節 貨幣数量説について マネーサプライを増やせば、デフレが止まるという考え ⇒データによる裏付けを欠いている 2008年9月5日 リーマン・ブラザーズが破綻 ⇒先進各国の中央銀行は「非伝統的な政策」を行う バランスシート拡大 金融機関に超過準備を大量供給する「金融緩和」 金融市場の機能・安定性維持を目的とし、 リスク資産を購入する「信用緩和」 の組み合わせ ⇒中央銀行のバランスシートの動向は、「金融緩和」と直結しない マネーの対GDP比は、欧米よりもはるかに高い ゼロ金利での下での金融政策運営の難しさ、広がっている 量的緩和の限界への認識、広がっている QE3=「金融緩和」と「信用緩和」の合わせ技 ⇒量的緩和の限界を示すもの

どうして 景気が過熱すれば金利をあげ 不況の時には金利をさげるのか ⇒ゼロ金利が奪う理由 1節 貨幣数量説について どうして 景気が過熱すれば金利をあげ 不況の時には金利をさげるのか ⇒ゼロ金利が奪う理由 どうして   マネーサプライを増やせば金融を緩和できるのか? ★マネーサプライを増やせば そうしないときに比べて 金利が下がる しかし、ゼロ金利では違う。(名目金利はゼロ以下に下がらないから) マネーサプライを増やせば デフレは止まるのか? NO ★伸び率が25%ですが??データの裏付けが欠いてますよね??   本当はハイパワードマネーのことでしょ?(日銀が直接関与できるのはここだから)   (民間銀行の預金準備) ゼロ金利の下で日銀が法定準備を超えた準備を増やすこと(=ハイパワードマネーを増やすこと)は意味なし! ★P117 意味があるのは、短期金利がプラスであって、変動が大きいと予想される場合であるから。 ゼロ金利意味なし! 大量通貨=通貨の価値を下げる マネーサプライを増やす

~4章で述べたいこと~ VS デフレ脱却の根拠として 貨幣数量説が挙げられる。 貨幣数量説は不成立」 “貨幣数量説は正しいか?” 答え ~4章で述べたいこと~          デフレ脱却の根拠として (物価下落)  貨幣数量説が挙げられる。 (物価は貨幣数量に比例)            4章の問い           “貨幣数量説は正しいか?”     答え                               ・・・正しくない            それはなぜか?を説明するために・・・ 1節 貨幣数量説について(概要と批判)            2節 「ゼロ金利でも貨幣数量説は成立」の裏付けとなった      クルーグマン・モデルについて 3節 クルーグマンモデルの問題点・批判 しかし「ゼロ金利の時は 貨幣数量説は不成立」 と、反対する学者もいる VS

2.クルーグマン・モデル 2節 クルーグマン・モデル 「①金利がゼロでも②マネーサプライを増やせば③デフレは止まる」と主張 2節 クルーグマン・モデル 2.クルーグマン・モデル 著名な経済学者たちは 「①金利がゼロでも②マネーサプライを増やせば③デフレは止まる」と主張                          なぜ?? その裏付けが、クルーグマンの「流動性のわな」に関する論文にあった なので、 クルーグマンの「流動性のわな」に関する論文の内容を説明します! 正しくない! 問題あり! ~クルーグマンの提案~ ①名目金利がゼロ(流動性のわな)になっても、 ②期待インフレを高めれば 実質金利が低下し、 ③景気は回復する 3節で説明

金融緩和により利子率が一定水準以下に低下した場合、 貨幣需要が無限大となり、 通常の金融政策が効力を失うこと。 2節 クルーグマン・モデル ■クルーグマンの「流動性のわな」に関する論文  まず、「流動性のわな」とは??   金融緩和により利子率が一定水準以下に低下した場合、   貨幣需要が無限大となり、   通常の金融政策が効力を失うこと。 資産を持つ形態:国債or貨幣 ◎利子率が通常の場合・・・    利子収入が得られる国債を保有 ◎利子率が十分に低い時・・・    国債保有による便益(利子収入)と    貨幣保有による便益(いつでもどこでも買いたい時に買える)    に差がない。      人々は国債ではなく貨幣を保有

2節 クルーグマン・モデル 「流動性のわな」を脱出(=景気回復、デフレ脱却)のためにどうするか・・・? (i)金利政策 無効 <理由> 流動性のわな = 名目金利がゼロ 利子率が操作できない →金利はゼロ以下に下げられない ↳ではどうするか? →金利を下げることに代わるのは「量的緩和」(マネーサプライの増大) (ii)量的緩和 困難 <理由>利子率が正の時 → 利子を生まない「貨幣」の保有は節約される ⇒貨幣数量説(MV=PQ) 成立 ゼロの時→ 「貨幣」と「債権」に区別がない ⇒貨幣数量説 不成立 「流動性のわな」の下で「金融政策」は困難

→ 貨幣需要が刺激され、「流動性のわな」から脱出 2節 クルーグマン・モデル しかし・・・ (iii)将来を考える  クルーグマン・モデルでは   「現在」流動性のわなに陥っていても、   「将来」は陥っていないと仮定   よって、   将来のマネーサプライ増大への期待   → インフレ率上昇 → 実質利子率低下   → 貨幣需要が刺激され、「流動性のわな」から脱出 これが、経済学者たちの 「①金利がゼロでも②マネーサプライを増やせば③デフレは止まる」 という主張を裏付けた。 ~クルーグマンの提案~ ①名目金利がゼロ(流動性のわな)になっても、 ②期待インフレを高めれば 実質金利が低下し、 ③景気は回復する

2節 クルーグマン・モデル C:各期の消費量 D:割引因子 ρの逆数:異時点間の消費       の「代替弾力性」

・(4.11)式より、 物価上昇率Π(右辺の値)が低下すると、 名目利子率i(左辺の値)が低下する。 ・(4.12)式より、 2節 クルーグマン・モデル このモデルの式より言えるのは ・(4.11)式より、  物価上昇率Π(右辺の値)が低下すると、  名目利子率i(左辺の値)が低下する。 ・(4.12)式より、  マネーサプライMが増えても、  実質利子率rは変わらない。                           ①②のような考えがベースとなっている。

2節 クルーグマン・モデル ■伸縮価格経済 物価Pが伸縮的で名目利子率iが0の場合、 ◆p134(4.13)式=成立 →価格と貨幣数量は無関係 ◆p135(4.14)式=Yは「完全雇用」状態にある ◆「伸縮物価経済」では実質利子率は正常な経済 と変わらない!また、実質利子率が負になったとしても 「完全雇用」は維持される!

2節 クルーグマン・モデル ■不完全雇用均衡 物価Pが非伸縮的でYが変数である場合、 ◆p136(4.16)式=名目利子率iが正のとき、「完全雇用」 p137(4.17)式=名目利子率iが0のとき、「不完全雇用」 →物価が下方に硬直的経済のとき、「わな」に陥る! ◆流動性の「わな」から抜ける政策は? ・「将来」の物価水準Pを上昇させる! =期待インフレを創出する

~4章で述べたいこと~ VS デフレ脱却の根拠として 貨幣数量説が挙げられる。 貨幣数量説は不成立」 “貨幣数量説は正しいか?” 答え ~4章で述べたいこと~          デフレ脱却の根拠として (物価下落)  貨幣数量説が挙げられる。 (物価は貨幣数量に比例)            4章の問い           “貨幣数量説は正しいか?”     答え                               ・・・正しくない            それはなぜか?を説明するために・・・ 1節 貨幣数量説について(概要と批判)            2節 「ゼロ金利でも貨幣数量説は成立」の裏付けとなった      クルーグマン・モデルについて 3節 クルーグマンモデルの問題点・批判 しかし「ゼロ金利の時は 貨幣数量説は不成立」 と、反対する学者もいる VS

3.クルーグマン提案の問題点 ①期待インフレの創出 ・ 「将来」経済はP*=M*/Y*の等式で成り立つ 3節 クルーグマン提案の問題点 3.クルーグマン提案の問題点 ①期待インフレの創出 ・ 「将来」経済はP*=M*/Y*の等式で成り立つ 物価水準P*は「将来」のマネーサプライM*に比例して変化 ・ P*はM*で決まるから、今期Pの下落は期待インフレを高め、 Yを上昇させるデフレは良薬 ・ 中央銀行が狂ったようにあらゆる資産を買えば、 物価は上昇するかもしれないが、価値水準としての円を 動揺させるような高率のインフレは経済を混乱に陥れる ・ 足許のデフレが逆に期待インフレを生み出すというのは 現実には起こり得ない ・ 貨幣数量説を前提にしているのは× しかし…

②利子弾力性の問題 ・ 期待インフレが1%上昇すると、消費需要は異時点間の 消費の代替の弾力性1/ρに等しい%だけ増大 3節 クルーグマン提案の問題点 ②利子弾力性の問題  ・ 期待インフレが1%上昇すると、消費需要は異時点間の 消費の代替の弾力性1/ρに等しい%だけ増大 ・ 実質利子率が低下すれば、消費など需要が速やかに増大する ・ 投資の利子弾力性=異時点間の消費の代替の弾力性 になるという保証はない ・ 日本のコールレートは大幅に低下したにも関わらず、 投資や消費は力強い回復を示さなかった ・ 「不確実性」の高まりが投資の利子弾力性を小さくする ・ 弾力性は、利子率が変わったとき日本経済という「マクロの系」が どう反応するか、という問題に関わる概念であり、 ミクロの分析ではとらえることができない ◎ クルーグマンモデルに代表される「代表的消費者」を前提にする 「マクロモデルのミクロ的基礎づけ」は理論的根拠を欠いたものである →こうした状況は「流動性のわな」「不確実性のわな」と呼ばれる しかし…

まとめ~4章で述べたいこと~ VS デフレ脱却の根拠として 貨幣数量説が挙げられる。 貨幣数量説は不成立」 “貨幣数量説は正しいか?” 答え まとめ~4章で述べたいこと~          デフレ脱却の根拠として (物価下落)  貨幣数量説が挙げられる。 (物価は貨幣数量に比例)            4章の問い           “貨幣数量説は正しいか?”     答え                               ・・・正しくない            それはなぜか?を説明するために・・・ 1節 貨幣数量説について    ゼロ金利では不成立      2節 「ゼロ金利でも貨幣数量説は成立」の裏付けとなった      クルーグマン・モデルについて 3節 クルーグマンモデルの問題点・批判 しかし「ゼロ金利の時は 貨幣数量説は不成立」 と、反対する学者もいる VS