教育相談論 (教職科目) 第5講 2010年10月23日(土) 担当:岡田佳子 1
休講のお知らせ 11月20日(土) 12月4日(土) ごめんなさい。2回休講になります。 補講、課題についてはプリント参照。 2
連絡 プリント3枚を前に取りに来てください。 出席管理システムは使用しません 3
前回の質問より カウンセリングで「無関心」や「無視」が必要なことはあるんですか? →カウンセリングではふつうはやりません。授業中など、してほしくない行動(勝手な発言など)を注意でやめさせるのではなく、「無反応」でやめさせるなどの応用があります。 コミュニケーション力をあげるには?→まずは聴くことから。日常生活でこころがけてみて。 あなたはどう思いますかと聞かれたら?→そういうときは、場合によっては率直な意見を伝えるのもいいと思います(とくに教師)。+それで、きみはどう思っているの? 生徒に「受験が心配」と言われたら?→今日の授業 初めは聴くだけでも、じきに解決策を一緒に考えますよね?いつごろから?→まずは「信頼関係」ができてから。 4
先週のプリントの残り
くり返し:相手の言葉や話の内容をそのまま繰り返す.簡単な受容同様評価や解釈などを一切持ち込まないで,ただ相手の言ったことを繰り返すだけ. 2.言葉の技術 簡単な受容:「うん,うん」「はい」「なるほど」などといったいわゆる相づち.否定,肯定,あるいは違った見方,同情などをいっさい含まず,単純にそのまま受け止める. くり返し:相手の言葉や話の内容をそのまま繰り返す.簡単な受容同様評価や解釈などを一切持ち込まないで,ただ相手の言ったことを繰り返すだけ. ⇒くり返しだけで相手が自ら問題を整理し,葛藤を乗り越えていくことさえある. 感情の明確化:一番難しい.相手の言葉の中にこもっている感情や情緒的な調子をこちらのことばではっきりと表現してみるような応答.「~という気持ちなんですね」「~とかんじるのですね」 6
抱えてから揺すぶる(別紙 資料参照) 気の利いた助言をしようとしたり、安易に励ましたり、説得しようとしていませんか? 抱えてから揺すぶる(別紙 資料参照) 気の利いた助言をしようとしたり、安易に励ましたり、説得しようとしていませんか? まずは、話をよく聴き信頼関係を築くことが何より大事 しっかり抱えて・・・ 7
第5講 カウンセリングの基礎(3) ― カウンセリングスキル(共感的理解) ― 8
1.「共感的理解」の意味とその重要性
先週の感想より・・・ 「共感」という言葉は知っていたが、思っていたよりもずっと深い意味があると知った。 「共感」とよく言うが、実際は簡単ではないことがわかった。 ⇒カウンセリングスキルの中でも特に重要な「共感」に焦点をあてて、演習を中心に練習してみましょう。
1-1.「共感」(empathy)とは?
ロジャース(Rogers,C.R.,1966) 共感とは、セラピストがクライエントの宇宙のなかに完全に無理なくはいっている (completely at home)ということ。(中略) クライエントの私的な個人的な意味づけの内的世界をあたかも自分自身のものであるかのように(as if it were your own)感じとることである」
上地(1990) 共感的理解とは、悩みゆえに穴の底まで落ち込んでいるクライエントへセラピストが手をさしのべ、 その深さではなく、底から見た穴の高さを実感としてクライエントと共に体験すること。
さて、どうやって上がりますかね・・・一緒に考えましょう お気の毒に・・・ がんばれー! 安易な励まし 同情 共感 さて、どうやって上がりますかね・・・一緒に考えましょう 結構高いですよね・・・ ・・・
2.「共感的理解」のレベル 共感とは、相手の気持ちがわかることだが、 非常に浅い共感から、深い共感まで様々レベルがある。 深い共感ができるといいよね。
例 教師から教師への相談の場面 新任の数学の先生ですがね、 お互いに協力し合って学年をまとめていこうと思い、声をかけるのですが、 例 教師から教師への相談の場面 新任の数学の先生ですがね、 お互いに協力し合って学年をまとめていこうと思い、声をかけるのですが、 どうも皆と一緒に行動するのが嫌いなようなんでしょうか、 何でも単独でやられるので、実は困っているんですよ
レベル 1 ポイントがズレた、または有害な応答 「それぞれ人には立場があるので、あまり干渉しない方がいいんじゃないですか」 レベル 1 ポイントがズレた、または有害な応答 「それぞれ人には立場があるので、あまり干渉しない方がいいんじゃないですか」 クライエントの表面上の感情にさえ適切に応じていない的外れの、あるいは有害な反応
レベル 2 不十分な応答 「ちょっと困った先生ですね」 クライエントの表面上の感情を全面的ではなく部分的に理解したうえでの応答。
レベル 3 表面上の感情が反映された応答 「先生が親切に声をかけているにもかかわらず、相手は一緒に行動せずに何でも1人でやってしまうので、先生は残念に思っておられるのですね」 クライエントの表面上の感情が正確に反映され、クライエントが表現している話の内容が正確に理解されていることが伝わる応答。
レベル 4 内面的な感情が反映され、援助をされに促進する応答 レベル 4 内面的な感情が反映され、援助をされに促進する応答 「先生が積極的に声をかけても、相手は一緒に行動せずに何でも1人でやってしまうので、先生は困ってらっしゃるのですね。先生が不満に思われるのも無理のないことだと思います」 クライエントの内面の感情が明確化され、クライエントのその時点での理解を超えたレベルで理解されているとクライエントによって受け取られるような応答。
演習5-1をやってみよう
2 3 1 1 1 4 2 3 1.先生も中学生の頃、親から、とにかく勉強を一生懸命するように、よく叱られたもんだよ。 2.君は、勉強に精一杯頑張っているんだよね。しかし、両親が心配するように目ざす高校に入るには、もっと勉強しなければと気になり、悩んでいるようだね。 3.親手どこも同じだね。まぁ、あんまり気にしないことだよ。 4.君の両親が心配するのは当然かもしれないね。もっと勉強に励んでみたらどうだろうか。 5.なんだ、そんなことか。親は親、子どもは子ども。自分が思う通りにすればいいんだよ。 6.そうか。君なりに勉強を一生懸命やってきたつもりだけど、目ざす高校へ合格するために、もっと勉強するように両親に注意され、それで勉強のことが気になり不安を感じているのかな。 7.そんなに心配することじゃないじゃないか。君なりに一生懸命勉強しているのなら、それでいいじゃないか。 8.そうだね。君なりに一生懸命勉強しているのだから、両親もそんなに心配せずに、君のことを理解してほしいということかなぁ。 2 3 1 1 1 4 2 3
3.より深い「共感的理解」のために
感情理解のポイント ① 質 :どんな気持ちなのか?(感情や欲求) ② 方向 :誰に向かっているのか?何に対する感情なのか? ① 質 :どんな気持ちなのか?(感情や欲求) ② 方向 :誰に向かっているのか?何に対する感情なのか? ③ 量 :どれくらいの強さなのか? 3つの側面から理解するといいんだね。
A君の気持ちは? 母親に対して(嫌なことを言われたことに対して)【方向】 →怒り、いらだち・もうやめて欲しい【質】 →怒り、いらだち・もうやめて欲しい【質】 怒りを母にぶつけた自分に対して【方向】 →自己嫌悪、困惑、後悔、罪悪感…【質】 母へのいらだちよりも、自分への後悔と困惑の気持ちが大きそう【量】
演習5-2 をやってみましょう 1人で①~③まで考えてみる 4人グループを作って、話し合い B4の紙にグループの意見を書く 発表 演習5-2 をやってみましょう 1人で①~③まで考えてみる 4人グループを作って、話し合い B4の紙にグループの意見を書く 発表 ※B4の紙にはメンバーの番号・名前を書く