測定時にガラス電極の横の窓を開けるのは 電極の内部圧を開放し、ピンホール状に開いている液絡部から比較電極内部液(KCl)が染み出るようにするため KCl セラミックなどの多孔質でできています。 HCl.

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1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
熱と仕事.
FUT 原 道寛 名列___ 氏名_______
4・6 相境界の位置 ◎ 2相が平衡: 化学ポテンシャルが等しい     ⇒ 2相が共存できる圧力と温度を精密に規定     ・相 α と β が平衡
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
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◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
微粒子合成化学・講義 村松淳司 村松淳司.
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医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
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シラバス説明(重要事項のみ) 到達度目標 授業計画 1.溶液中の酸化還元反応を理解し、反応式を自由に書くことができる(基礎能力)
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相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
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(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
低温物体が得た熱 高温物体が失った熱 = 得熱量=失熱量 これもエネルギー保存の法則.
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
今後の予定 (日程変更あり!) 5日目 10月21日(木) 小テスト 4日目までの内容 小テスト答え合わせ 質問への回答・前回の復習
モル(mol)は、原子・分子の世界と 日常世界(daily life)をむすぶ秤(はかり)
近代化学の始まり ダルトンの原子論 ゲイリュサックの気体反応の法則 アボガドロの分子論 原子の実在証明.
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
電子システム専攻2年 遠藤圭斗 指導教官 木下祥次 教授
熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
イミダゾリウム系イオン液体(3)ー分子性液体(2)混合溶液の二酸化炭素溶解度(1)
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
電解質を添加したときの溶解度モデル – モル分率とモル濃度
V = VW nW + VE nE ヒント P142 自習問題5・1 溶液の体積を 1000 cm3 とすると、 溶液の質量は?
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
課題 1.
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
ヒント.
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測定時にガラス電極の横の窓を開けるのは 電極の内部圧を開放し、ピンホール状に開いている液絡部から比較電極内部液(KCl)が染み出るようにするため KCl セラミックなどの多孔質でできています。 HCl

液間電位 多孔質の隔壁 多孔質の隔壁 + - - + - - + - + + + + - - - - + - - + + + + + + - 負電荷過剰 正電荷過剰 上図のように多孔質の隔壁で仕切った2つの部屋に異なる濃度の塩酸が入っている状況を考えると、このときH+もCl-も拡散するが、H+の方が移動度が大きいため隔壁を挟んで、電位差が生じる。この電位差はイオンの拡散速度の違いから生じるもので、異なる電解質溶液の接合部にも現れる。このような電位差を液間電位と呼び、これを生じるような電解質溶液の接合を液体連絡、または略して液絡と呼ぶ。

電気化学ポテンシャル μi=Gi+L・ zieψi =Gi+ziFψi 化学ポテンシャルは熱力学で用いられるエネルギー量で一般にμで表される。これはモル(mol)あたり(あるいは1分子あたり)のギブズエネルギーを意味し、通常は成分ごとに分けて考える。例えば成分iの化学ポテンシャルはμiで表す。電荷を帯びた反応種については電気的なエネルギーを考慮に入れる必要がある。電位がψにある系から-⊿eの電荷が放出されたときには-ψ・⊿eの電気的仕事が得られる。そこで、化学ポテンシャルに電気的仕事を合わせて電気化学ポテンシャルと呼びます。i成分がzie(C)の電荷を持つ荷電粒子であり、電位ψ(V=J/C)のところに置かれた時zieψi(J)の電気的エネルギーを持つ。したがってi成分1モルあたりの電気化学ポテンシャルは、 μi=Gi+L・ zieψi =Gi+ziFψi ただし、Lはアボガドロ数、Fはファラデー定数

系のエンタルピー変化量= 仕事に使える自由エネルギー + 仕事に使えない束縛エネルギー ギブズ自由エネルギー 系のエンタルピー変化量=                                仕事に使える自由エネルギー +                           仕事に使えない束縛エネルギー ⊿H=⊿G+T・⊿S 熱 ⊿G= ⊿H- T・⊿S エンタルピーの定義式から⊿H=⊿U+ ⊿ (V・P)= ⊿U+ V・⊿P +P・⊿V よって⊿G= ⊿U+V・⊿P+P・⊿V - T・⊿S エネルギー保存則からQ=⊿U+P・⊿V      ⊿U=Q-P・⊿V したがって⊿G= Q - T・⊿S +V・⊿P エントロピーの定義式からQ=T・⊿S まとめると⊿G= V・⊿P

⊿G= V・⊿P 理想気体を考えると状態方程式 PV=nRTよりV=nRT/Pを代入して圧力P0からP1までの変化量を求める(モル数n=1とする)と ∫ P1 P1 RT/P・dP=RT ln P0 P0 ⊿Gは状態G0(P0,T)からG1(P1,T)の変化なので P1 G1(P1,T)- G0(P0,T) =RT ln P0 P1 G1(P1,T) = G0(P0,T)+ RT ln P0 特にG0の状態を標準状態(25℃、P0=1atm)とすると標準生成ギブズ自由エネルギーをG0として G1(P1,T) = G0+ RT ln P1 標準状態から圧力の変化を伴う過程で、理想気体のギブズ自由エネルギーは、圧力の対数に比例して上昇する。

理想気体を想定したように、理想溶液を仮定すると、「系」の圧力温度を一定に保つなら体積、内部エネルギー、エンタルピー、ギブズ自由エネルギーなどは溶液を構成する物質のモル数に比例すると考えられる。モル濃度をCとすると下記のように表される。 G(C,T) = G0+ RT ln C よって成分iの電気化学ポテンシャルは以下のようにも書き表せられる。 μi=Gi+L・ zieψi =Gi+ziFψi = Gi0+ RT ln Ci + ziFψi μi=Gi0+ RT ln Ci + ziFψi

膜電位 液間電位は濃度の異なる電解質溶液をイオンが自由に透過できるような隔壁で仕切った時に現れる非平衡状態での電位差であった。もしこの隔壁の代わりに、陽イオンだけが透過できるような膜で仕切った場合、状況は異なる。仕切った直後は、濃度の高い方から低いほうへMz+が移動する。これはMz+の化学ポテンシャルの違いによって起こる拡散現象で、 Mz+の移動につれ左側では負電荷過剰になり、右側では正電荷過剰になる。その結果、 Mz+の電気化学ポテンシャルは左で下がり、右側では上がってくる。やがては両側で電気化学ポテンシャルが等しくなり、見かけ上の移動は止まる。このとき膜を挟んで高濃度側の陽イオンMz+(h)と低濃度側のイオンMz+(l)の間で平衡が成り立つ。 Mz+(h)         Mz+(l) + - - + - - + - + + + + - - + - - - - + + + + + + - - + - - + - 負電荷過剰 正電荷過剰 塩MXの溶液(濃度が異なる)

⊿ψ(l,h)= μl- μh= RT ln Cl + ziFψl - RT ln Ch - ziFψh Cl = RT ln 高濃度側の電気化学ポテンシャルは μh=Gi0+ RT ln Ch + ziFψh 低濃度側の電気化学ポテンシャルは μl=Gi0+ RT ln Cl + ziFψl ⊿ψ(l,h)= μl- μh= RT ln Cl + ziFψl - RT ln Ch - ziFψh Cl = RT ln + ziF(ψl - ψh) Ch 平衡状態にあるとき、電気化学ポテンシャルの差μl- μh =0と考えられるので、 Cl   RT ln + ziF(ψl - ψh) =0 Ch RT Ch ⊿ψ= ψl - ψh = ln ネルンストの式 ziF Cl 平衡状態に達したときの膜の両側の電位差⊿ψを膜電位という。

V ガラス電極を用いたpHメーターの電池図 AgCl Ag H+ H+ H+ H+ H+ H+ H+ H+ ガラス電極 比較電極 飽和KCl 0.1mol/l HCl AgCl Ag H+ H+ H+ H+ H+ H+ H+ 液絡 H+ ガラス電極 比較電極

ガラス膜表面の構造 平面図 シラノール基 薄膜ガラス ガラス電極 SiOH SiO-+ H+ ケイ素    酸素  SiO4 

薄いガラス膜(0.1mm程度)を挟んで、接する2つの溶液のH+イオン濃度が異なると、その差に応じてガラス膜の両側に電位差(Eg)が現れる。ネルンストの式でガラス電極の内部に入れた既知の濃度のH+(〔H+〕in)に対し、サンプル中の水素イオン濃度が〔H+〕sampleのとき、次の電位を生じる。 RT 〔H+〕in Eg= ln 一般的に、内部の既知濃度のH+は、0.1モル塩酸溶液 F 〔H+〕sample pHメーターを構成する電池の起電力は、次の各式の平衡電位を合わせたもの E1:ガラス電極の内側電位 Ag(s)|AgCl(s)|HCl(0.1M) Eg:ガラス電極の内外に生じる膜電位 HCl(0.1M)|ガラス薄膜||Sample H+(X mol/l) E2:液間電位:銀・塩化銀電極の液絡を介したサンプル溶液と銀・塩化銀    電極の内部液(飽和KCl溶液)の間に発生する電位 Sample H+(X mol/l)||液絡|KCl(飽和)

よってpHメーターでpHが測定できます。 E3:銀・塩化銀電極 KCl(飽和)|AgCl(s)|Ag(s) すなわち、 pHメーターを構成する電池の起電力Eは、 E=E1+Eg+E2+E3 このうちEg以外は一定と見なせられるので、 E1+E2+E3=E★とすると、 RT 〔H+〕in E=Eg+ E★= E★+ In F 〔H+〕sample RT E★は、標準液によって校正されるべき標準電極電位で、25℃では    は、0.02569、 ln(10)=2.303を用いれば F ここも既知 〔H+〕in E=E★+0.05916 log 〔H+〕sample よってpHメーターでpHが測定できます。

Cin=10 Cout ⊿ψ= ψin- ψout RT Cout = ln = ziF Cin =-0.05917(V) 細胞の膜において、例えばカリウムイオンのように非対称に分布して平衡に達している場合には膜内外で電位差が生じている。例えば細胞内のカリウムイオン濃度が細胞外より10倍高い時、25℃における膜電位は・・・ Cin=10 Cout ln(10)=2.303 R=8.31441J/mol・K、F=96485C/mol、T=298.15K(25℃)より ⊿ψ= ψin- ψout RT Cout 8.31441 × 298.15 = ln = × (-2.303) ziF Cin 96485 =-0.05917(V) よって細胞の内側のほうが、外側よりも約60mV電位が低いことになる。