肝細胞癌の1例 平成28年度 6班 36番 下島里音 肝臓で入院した患者の肝臓の状態を、今までの治療歴を踏まえ1枚の図にまとめています。

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肝細胞癌の1例 平成28年度 6班 36番 下島里音 肝臓で入院した患者の肝臓の状態を、今までの治療歴を踏まえ1枚の図にまとめています。 このよう3枚の図をつくることで、患者の全体像がわかり経過がわかります。この図3枚を使い、 臨床判断の可否、今の状況、今後の問題点などを討議しています。

60代 男性 肝細胞癌の残存に対し再度B-TACEを施行 現病歴 既往歴 治療介入 ・1987年             他院にて非A非B型肝炎を指摘された。 ・1997-2005年          C型肝炎と診断され、IFN  治療を行ったが、発熱・掻痒感・抑うつ気分などの有害事象により、持続性ウイルス学的  著効(SVR)なく中断した。 ・2007年            ●月:他院にて腹部CT にて肝細胞癌を疑われた。 ●月:精査目的として   当院当科を紹介受診した。 7月:肝生検にてS8初発 肝細胞癌と診断され、  経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)を施行した。 ・2013年 ●月:MRIにてS3&S8  肝細胞癌と診断された。 ・2014年            ●月:全肝シスプラチン(DDP-H)、S8病変に対してRFAを施行した。 ●月:S3病変に対し肝部分切除術を施行した。 ・2016年            ●月▲日:レジパスビル+ ソホステビルでC型肝炎   に対する治療を行い、    SVRとなった。 ●月▲日:MRIにてS8ドーム下に古典的肝細胞癌を認めた。 ●月▲日:全肝DDP-H 75mg、S8病変に対して、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行した。 ・2016年           ●月▲日:造影CTにてS8のリピオドールがwashoutされており、偽病変と考えられていたところに早期濃染を認め、肝細胞癌と診断された。 ●月▲日:B-TACEによるS8肝細胞癌の治療を目的として入院した。 ●月▲日:B-TACE   を施行した。 60代 男性 肝細胞癌の残存に対し再度B-TACEを施行 Child-Pugh分類 A Child-Pugh分類 B Child-Pugh分類 A

●Child-Pughスコア 5点 (GradeA) 身体所見のまとめ 意識清明 リンパ節腫脹(-) 眼瞼結膜:貧血(-) 眼球結膜:黄染(軽度+) アンモニア臭(-) 【入院時所見】 体温 36.6 ℃、空腹時血糖 124 mg/dl、HbA1c 6.0 % AFP 4 ng/ml (<9.5)、PIVKAⅡ <15.0 mAU/ml 【生活歴】 飲酒歴:ビール 350ml/日、喫煙歴:なし、輸血歴:なし 【家族歴】 姉:冠動脈バイパス術 【既往歴】 4●歳:胆嚢結石にて手術 5●歳:肝臓部分切除術 6●歳:腹壁瘢痕ヘルニア手術 【アレルギー】 造影剤(ヨード) 【内服】 ウルソデオキシコール酸(利胆薬) 100mg 6T(2T×毎食後) グルファスト錠(SU剤) 10mg 3T(1T×毎食前) ボグリボース錠(α-GI) 0.2mg 3T(1T×毎食前) スピロノラクトン錠(K保持性利尿薬) 25mg 2T(1T×朝・昼食後) ネシーナ錠(DPP-4阻害薬) 25mg 1T(朝食後) ネキシウムカプセル(PPI) 20mg 1T(朝食後) バルサルタン錠(ARB) 40mg 1T(朝食後) ピアーレシロップ(糖類下剤) 65% 30mL(10mL×毎食後) 腹部:軽度膨満 (波動あり *1) 圧痛(-) 腸蠕動音正常 血管雑音(-) 脾・腎:触知しない 腫瘤:触知しない クモ状血管腫 (右大腿内側に+) 皮膚紅潮(-) 下痢(-) 腹痛(-) BP:145/64mmHg Heart:心音正常、no murmur Lung:呼吸音正常、no rale 女性化乳房(+) 肝:触知しない 黄疸(-)、腹水(-) 手術痕(+) ・腹腔鏡下胆嚢摘出術 ・肝部分切除術 ・腹壁ヘルニアに対する手術 ICG:R15 32% 手掌紅斑(-) 羽ばたき振戦(-) 両側上腕にタトゥー 両側第4、5指の欠損 ●Child-Pughスコア 5点 (GradeA) 血清ビリルビン 1.0 mg/dl → 1点 血清アルブミン 3.7 g/dl → 1点 腹水 なし → 1点 脳症 なし → 1点 プロトロンビン時間 93% → 1点 浮腫(-) *1 エコーにてモリソン窩        ・膀胱直腸窩に腹水を    認めなかったことから、    「腹水はなし」と判断した

治療経過  日本肝臓学会の治療アルゴリズムによると、本症例では  肝切除または焼灼療法が適応であるが、今後の肝細胞癌の再発時の治療を考慮し、肝予備能の温存のために肝切除の適応としなかった。また、腫瘍と動静脈が近接していたためRFAも適応としなかった。  以上より、B-TACEを選択した。A4からアプローチした。  その際、前回のEL-TACE療法による血管の狭小化を認めたものの、カテーテルを進めることができ、ミリプラチ1.5mgを 注入した。  一方、Post CTで注入の不十分な部位を認めたため、 側副血流を認めたA8からもB-TACEを施行し、ミリプラチン1mg を注入した。結果注入部位に十分な造影効果を認めたため、 B-TACEを終えた。