イミダゾリウム系イオン液体(3)ー分子性液体(2)混合溶液の二酸化炭素溶解度(1) (法政大)西海英雄(日大工)遠藤康余・ 新井浩也・下村拓也・児玉大輔 化学工学会第79年会 岐阜大学 2014/3/19
Solubility of CO2(1) in diglyme(2)-IL(3) solutions at 313.15 K 手順 1. 二成分系気液平衡 2. 三成分系気液平衡 実験的事実 モデルでの解釈 3. ほかの系と比較しより 一般的な取り扱い法 ◇:pure Diglyme ●:xIL =0.035(仕込濃度) ●:xIL = 0.10 ●:xIL = 0.25 ●: xIL = 0.50 ○:pure IL
1. Solubility of CO2 (1) in diglyme (2) at 313.15 K Fig. 1 Solubility of CO2 in diglyme-IL solutions at 313.15 K. ◇: diglyme 1と2の相互作用により P y1 = H’ x1 at a temperature: 直線的 -> Henry’s lawとの関連を思わせる 同じ圧力では3(IL)を添加すると 1の溶解度が下がる → これをどう説明するか
C2(diglyme)へのC1(CO2)の溶解 二成分系
2.塩析効果 Salting-out effect 2.1 実験結果 発表者はすでに同様な三成分系 ([1]FPE,2014) 1.溶解物質(1:フロン類) 2.分子性溶媒(2:アルコール類) 3. 電解質(3:NaOH) に対して 電解質(3)の添加により(1)の(2)に対する溶解度が大気圧下,各温度で減少することを実験で観測した (Salting-out effect).
Solubility of HFC-134a(1) in EtOH(2)-NaOH(3) solution at atmospheric pressure
フロン(1)のアルコール(2)-NaOH(3)への溶解度 これが次式で表されることを実験的に見つけた (1) h12は温度依存性の無い系に固有な定数と考えられる Nishiumi, Kodama, FPE, 362(2014) 187-191
2.2 Solvation model of 2 to 3(IL) 1.塩(IL:3)は不揮発性で蒸発しない 2.diglyme(2)は,IL(3)に配位する 3. 溶解度は1(CO2)とフリーdiglyme (1) [会合したものを除く]でのみ決まる. そのため溶解度が減少する.
配位数 Solvation number Ns よって 一方実験式(1)をMaclaurin展開し、(4)式と比較すると すなわち
Determination of salting coefficient 圧力によらず同じ 曲線上にのる → は系に固有な 定数? 1.CIL がわかれば任意圧力における無次元溶解度 C 1/C10がわかる 2.C2=0.5~2 mol/L なので Ns= 0.1~0.5 程度 (予稿集訂正願います) ◆: experimental
h12は系固有の定数かー圧力依存性 ある圧力での成分比が 同じならば は系固有 の定数となる →配位はC2濃度のみに よって定まる
h12の温度依存性(フロン溶解度) 温度依存性は少なくh12は系固有の定数とみなせる →配位数NsはC2濃度のみによって定まる したがって、 に比例し、温度あるいは 圧力の影響は受けない とみなせる
Solvation numberとh12の関係 大気圧下 溶媒(2)が同じならば 配位数はh12に比例する
3. 本モデルの適用可能な系への展開 1 (溶解ガス) 2 (溶媒) 3(電解質) CO2 Diglyme IL フロン類(CFC-12,HFC-125, HFC-32, HFC-134a) アルコール類(CH3OH, C2H5OH, C3H7OH) NaOH VOCガス(アルコール類、 ケトン類、芳香族炭化水素、 硫黄化物、塩化物) 水(極性溶媒) Na2SO4, NaCl、 TEAB, TMAB(アンモニウム塩: h12 <0)
グループ寄与法によるh12の推算 下表は、フロンのアルコール-NaoHへの溶解度をグループ寄与法により 推算できることを示したものである。気体の水-塩への溶解度も推算可能である (Nishiumi,Kodama, 2014, FPE参照)
結び 不揮発性電解質(3)を含む液へ溶媒(2)の分子が配位する(吸着か)ことにより引き起こされる溶解度(1)の減少を塩析モデルは説明できる.本モデルは本系ばかりでなく広い領域で適用できることが示された. 推算にはグループ寄与法が有効であり,イオン液体での溶解度データの蓄積が望まれる.