状態方程式による 大きな分子を含む系の 熱力学物性の推算法 分離技術会年会 2015 2015.5.30 明治大学 生田キャンパス 法政大学名誉教授 西海 英雄
分離技術シリーズ 25 状態方程式を中心とした 「計算熱力学」 西海 英雄・ 吾郷 健一 共著 分離技術会 初版 2012年9月15日 発行 定価 5000円
収納プログラム 本書の目的:熱力学を実際的に理解するために実用的なプログラムをCDとして提供 収納計算プログラム 1.bcomp (実験データとの比較プログラム) → 実演 2.bpred (物性推算プログラム) EOS ○ Peng-Robinson状態方程式 ◎ BWR状態方程式
実演:bcompによる純物質物性計算 H2Oの蒸気圧計算等 と 詳細計算結果 fort7.txt
状態方程式(EOS)による物性計算 「計算熱力学」での基本データ 1.純物質: 3変数CSP;P/Pc=f(T/Tc,V/Vc,ω)(無極性物質) + 極性パラメータ (極性物質) 先ほどのH2O 登録されてる物質は約270種 ・本発表での拡張物質は極性物質を含め全て3変数CSPで 表されるものとする → 有効なTc,Pc,Vc,ωを求める (本発表の目的) 2.混合物: 異種分子間パラメータ mij ・ 無極性物質から成る系はファミリーによる一般化 ・ 極性物質を含む系は個々の系に適用できる 局所組成モデルによる相関 ・本発表の系は全て data fitting により有効なmijを定める
臨界定数 データ所在 Poling, Prausnitz, O’Connell, Properties of Gases and Liquids (5th Ed.), McGraw-Hill (2001) 468種の臨界値、ω等が報告されている --- これら純物質物性は全て計算できる これらを混合物として組み合わせると 2成分系でも 80,000系 --- mijが必要
臨界値データがないとき 臨界値の推算法についてはグループ寄与法によるいくつかの方法が提案されている。 Lydersen (1955) → Joback (1984) Constantinou and Gani (1994) Wilson and Jasperson (1996) Marrero and Pardillo (1999)
Jobackのグループ寄与法による臨界値推算法
Joback法による推算 平均偏倚 [%] Tc (Tbに実験値) 1.7 Tc (Tbにグループ寄与法) 5.9 Pc 6.1 Vc 平均偏倚 [%] Tc (Tbに実験値) 1.7 Tc (Tbにグループ寄与法) 5.9 Pc 6.1 Vc 8.0 約400の物質に対して 物性推算:これらの値を使って諸物性値を推算すると どの程度の誤差を生むか?
Joback法による巨大分子Tcの推算 Digyme Triglyme Tetraglyme オレイン酸 Triolein PAG-1 分子量 134 178 222 282 885 1105 Tc(Joback) [K] 570 636 703 943 4,019 8,541 TbはΣTbkに線形なため大きな分子では大きな値となる。結果、Tcの推算値が大きくなりすぎ実用的とは言えない値となる Lydersen-Joback法改良のヒント → Tb/Tcに着目 (本発表)
1. Joback法のTb/Tc~ΣTck ΣTckの大きい部分での挙動は望ましくないのではないか 約400の物質について のプロット。高級アルコール を除いて良く一致する。 (alkaneに一致するように 寄与分を定めた結果であろう) ΣTckの大きい部分での挙動は望ましくないのではないか 改良点:1.高級アルコールのOH-寄与無し 2. Tb/Tcの最大値は高々1 3. ΣTckが大きくなるに つれてTb/Tcは単調増大し最大1へ漸近する と考えた。 Joback: 最大値を持つのはいかがか
Tb/Tc=-1/(1.3+ΣTck)4+0.93=f(ΣTck)
2. Tc vs. Tb/Tc Tc vs. Tb/Tc の関係をファミリー毎に相関できるのではないか?
ファミリー毎のTb/Tc~Tcの相関 直鎖炭化水素と 環状炭化水素
ほかのファミリー相関は時間の制約上省略
Tbを直接評価しないでTcを求める方法の提案 - Tb/Tcを経由するファミリー法 ファミリー毎の相関 ΣTck → Tb/Tc → Tc(ファミリーごとの相関による)
Tc計算例 (実演予定) オレイン酸 分子量 282 構造式 CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH CH3- 1個 分子量 282 構造式 CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH CH3- 1個 -CH2- 14 -CH= 2 -COOH 1
Tcの推算と諸物性推算結果 オレイン酸 Digyme Triglyme Tetraglyme Triolein PAG-1 分子量 134 178 222 282 885 1105 Tc(this work) [K] 592 652 698 (カルボン酸)815 (エステル) 835 (エステル) 842 Tc(Joback) [K] 570 636 703 943 4019 8541 蒸気圧 better 1atmでのPVT(液) 2.8% 6.2% 9.0% H2溶解度 最適mij 良好温度依存性 -1~-2 良好 -1.8 CO2溶解度最適mij 0.900 0.890 0.845 良好温度依存性-0.8 0.6 飽和液密度 3.8% 6.5% 8.4% 飽和蒸気密度 0.9% 1.1% ファミリー毎の相関 本法によって Joback法の Tbが大きくなりすぎる欠点を回避できる
PVT(液相)計算例(実演予定) Liquid density of Diglyme at atmospheric pressure
オレイン酸の蒸気圧推算 This work Joback 法
CO2のDiglymeへの溶解度(実演予定) at 313.15K bcomp フラッシュ計算 飽和気液密度
CO2-Diglyme系の溶解度 313.15K opt. mij=0.900
CO2+Diglyme 飽和密度推算
Solubility of H2 in Oleic Acid
Solubility of H2 in Triolein
Solubility of CO2 in PAG-1 at 344.5K opt. mij =0.60 3.7 MPa以下でのみ収束
Tcの推算と諸物性推算結果 オレイン酸 Digyme Triglyme Tetraglyme Triolein PAG-1 分子量 134 178 222 282 885 1105 Tc(this work) [K] 592 652 698 (カルボン酸)815 (エステル) 835 (エステル) 842 Tc(Joback) [K] 570 636 703 943 4019 8541 蒸気圧 better 1atmでのPVT(液) 2.8% 6.2% 9.0% H2溶解度 最適mij 良好温度依存性 -1~-2 良好 -1.8 CO2溶解度最適mij 0.900 0.890 0.845 良好温度依存性-0.8 0.6 飽和液密度 3.8% 6.5% 8.4% 飽和蒸気密度 0.9% 1.1% ファミリー毎の相関 本法によって Joback法の Tbが大きくなりすぎる欠点を回避できる
結論:ファミリー法によるTcの推算 Jaback法では大きな分子では線形性仮定のためTbが大きな値となり、結果Tcの推算値が大きくなりすぎ、実用的でなくなるが本法ではそれを避けることができた。 それほど大きな分子でなくとも 臨界値のわからない物質の臨界値パラメータが得られそれにより純物質あるいは混合物物性を推算できることも示された。
ご清聴を感謝します
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ファミリーによるmij の相関ー 6 families Hudson-McCoubrey theory mij= f(Vci/Vcj) ・・ 一般化 「計算熱力学」収納
T* :温度依存
内挿的推算法と外挿的推算法 状態方程式 (対応状態原理) 熱力学 数値計算法 実験データ Tc, Pc, Vc, ω パラメータ 物性推算 (PVT, 相平衡,H,S・・・・)
これからの問題 大きな分子でのVcの線形性をどう考えるか。 剛体球モデル的に考えればOK 大きな分子でのPcの線形性をどう考えるか。 Zc=Pc Vc/R Tc=0.29あたりの検討
偏心係数 (Tc, Pc), (Tb, 1 atm)の 2点からClausius- Clapeyron式により蒸気圧式が得られる。それより ωが求められる Fig. Prediction of acentric factor (Red: This work, Blue: Joback)
蒸気圧計算 基本物性パラメータが決まればEOSを用いて諸物性を推算できる。 Fig. Prediction of vapor pressure (Red: This work, Blue: Joback)
N 化合物
S 化合物
ファミリー相関 Tb/Tc=g(Tc) 1.直鎖HC(alkane/alkene/alkyne/diene)・エーテルは一致性が高い。 Tb/Tc= 4.639E-07*Tc2 - 6.783E-05*Tc + 0.5840 (T>=280K) 2. シクロアルカン・環状アルコール・多環アレン・含酸素化合物(仮相関)は、Tb/Tc = 2.187E-04*Tc + 0.5213 3.カルボン酸と直鎖アルコールは一致すると考えてよい。 Tb/Tc= 1.021E-06Tc2 - 9.724E-04Tc + 9.197E-01(T>=400K) 4.エステル・ケトンは、Tb/Tc= 7.904E-04*Tc + 0.2407 5. フロン類・ハロゲン化物は Tb/Tc= 2/3 =0.6667 6.単環アレンは Tb/Tc = 5.819E-04*Tc + 0.3056 7.鎖状含N化合物は Tb/Tc= 3.804E-04*tc + 0.4609 8. 非鎖状含N化合物は Tb/Tc = 3.800E-04*Tc + 0.4110 9. S化合物 Tb/Tc=0.60 (仮相関) 10. O化合物 Tb/Tc = 2.000E-04*Tc+ 0.5250 (仮相関)
ファミリー法によるTcの推算 TbはΣTbkに線形なため大きな分子では大きな値となり、結果Tcの推算値が大きくなりすぎ実用的でない 1. Tb/Tc=-1/(1.3+ΣTck)4+0.93=f(ΣTck) 2. ファミリー相関 Tb/Tc=g(Tc) を得た。 ΣTck→ (Tb/Tc) → Tc と Tbを経ずにTcを推算できる方法を提供する
O 化合物
Diglymeの蒸気圧推算
Triglyme 液密度推算(1atm) ------------------------------------------------------------------------------- T P Zcal Zexp Vcal Vexp Dcal Dexp 偏倚 相 [K] [MPa ] [-] [-] [ l/g ] [ g/l ] [%] 273.15 0.10 0.0075 0.0079 0.0009 0.0010 1060.943 1003.990 5.67 liquid 278.15 0.10 0.0074 0.0078 0.0009 0.0010 1056.801 999.230 5.76 liquid 283.15 0.10 0.0073 0.0077 0.0010 0.0010 1052.584 994.480 5.84 liquid 288.15 0.10 0.0072 0.0076 0.0010 0.0010 1048.300 989.740 5.92 liquid 293.15 0.10 0.0071 0.0075 0.0010 0.0010 1043.955 984.980 5.99 liquid 298.15 0.10 0.0070 0.0074 0.0010 0.0010 1039.557 980.230 6.05 liquid 303.15 0.10 0.0069 0.0073 0.0010 0.0010 1035.111 975.480 6.11 liquid 313.15 0.10 0.0068 0.0072 0.0010 0.0010 1026.091 965.970 6.22 liquid 323.15 0.10 0.0066 0.0070 0.0010 0.0010 1016.927 956.440 6.32 liquid 333.15 0.10 0.0065 0.0069 0.0010 0.0011 1007.644 946.890 6.42 liquid 343.15 0.10 0.0063 0.0068 0.0010 0.0011 998.255 937.300 6.50 liquid 353.15 0.10 0.0062 0.0066 0.0010 0.0011 988.772 927.690 6.58 liquid 363.15 0.10 0.0061 0.0065 0.0010 0.0011 979.199 918.020 6.66 liquid 平均絶対偏倚 6.2 ------------------------ データ点数: 13 偏倚[%] = 100x(calc.-exptl.)/exptl
CO2-Triglyme系の溶解度 313.15K opt. mij=0.890
CO2-Tetraglyme系の溶解度 313.15K opt. mij=0.845
Ⅰ. 純物質物性の推算 熱力学とEOSの関係 PVT関係,すなわち状態方程式 EOS P=f(V,T) を上式右辺に代入し微分,積分を行うことで U,H,S,fiが求められることを示している. 混合物に関しても拡張してP=f(V,T,n1,n2,・・・)として用いることができる
対応状態原理と一般化状態式 van der Waals一般化状態式 ここで,Tr=T/Tc, Pr=P/Pc, Vr=V/Vcで定義される無次元数で,対臨界温度 reduced temperature などと呼ばれる. Pr=f(Tr,Vr) 二変数対応状態原理 CSP → 無極性・球状物質に適用可能 ・鎖状物質にも適用するため蒸気圧データから得られるパラメータωを考慮して三変数対応状態原理に基づく一般化状態式Pr=f(Tr,Vr,ω)がポピュラー
一般化状態式(1)-Peng-Robinson EOS 現在最も広くプロセス設計で用いられているPeng-Robinson EOS では,van der Waals状態式同様に,臨界点における条件より 蒸気圧を良好に表現するため次の補正項を加えた κ = 0.37464+1.54226 -0.26992 ω2
一般化状態式(2)- 15定数BWR状態方程式 15定数はTc, ρc,ωで表される.本式は三変数対応状態原理に従う一般化状態方程式である.例えば,A0は,次式で表される
純物質物性の推算 臨界定数(Tc, Pc, Vc) ← 対応状態原理 (無極性物質・球状物質) ω ← 蒸気圧データ から 一般化EOS Pr=f(Tc,Vc,ω) を得る (非球状物質への拡大)。 BWR型EOSでは さらに極性パラメータを追加し、無極性、極性物質に適用できるよう改良。
[操作]純物質物性推算 2種類のプログラム 1.推算値を得る: bpred, prpred (prediction) 2.実験値との比較: bcomp, prcomp (comparison) bpred (-1) 約250物質の臨界値、ωの収納 理想気体比熱a~d、標準生成熱H00, 標準自由エネルギーg00 Poling, Prausnitz, O’Connell, “Gases and Liquids”5th ed.では468物質のパラメータが収納されている bpred(-1) を演示. alkane を表示.
純物質物性計算例 演示 1.CO2 bpred 0℃における飽和状態 2.NH3 bcomp 飽和蒸気圧 飽和液PVT 飽和蒸気PVT ΔS
図1.3 CO2の気・液相PV図と飽和線(Peng-Robinson状態式による計算値)
図1. 4 CO2 のPZ図(PR式による等温線)1: 180K, 2: 240K, 3: 304 図1.4 CO2 のPZ図(PR式による等温線)1: 180K, 2: 240K, 3: 304.2K (臨界温度), 4: 360K, 5: 420K, 6: 480K, 7: 540K, cp: 臨界点(実験値) Z= PV/RT 理想気体では1
図3. 2 CO2のPH 図 (BWR状態式による計算値。 基準値:220K, 1 MPaの液エンタルピーを392 図3.2 CO2のPH 図 (BWR状態式による計算値。 基準値:220K, 1 MPaの液エンタルピーを392.6 J/gとする) 1: 220 K, 2: 240 K, 3: 260 K, 4: 273.15 K, 5: 280 K, 6: 300 K, 7: 320 K, 8: 340 K, 9: 360 K, 10: 380 K,■:臨界点(実験値)
図3. 3 CO2のTH図(BWR状態式による計算値。基準値:220K, 1 MPaの液エンタルピーを392 図3.3 CO2のTH図(BWR状態式による計算値。基準値:220K, 1 MPaの液エンタルピーを392.6 J/gとする)図中の数字は, 圧力[MPa]を示す
図9. 3 NH3の比熱 (BWR状態式)。実線:10 MPa (沸点:398 図9.3 NH3の比熱 (BWR状態式)。実線:10 MPa (沸点:398.36 K)。△:10 MPa文献値, 破線: 理想気体 (基本データの の値から) 日本機械学会,”流体の熱物性値集”, p.240, 1988
図9. 1 CO2のPS 図 (BWR状態式による計算値。基準値を 220K, 1 MPaの液エントロピーを2 図9.1 CO2のPS 図 (BWR状態式による計算値。基準値を 220K, 1 MPaの液エントロピーを2.680 J/(g K)とした) 1:220 K, 2:240 K, 3:260 K, 4:273.15 K, 5:280 K, 6: 300 K, 7:320 K, 8:340 K, 9:360 K, 10:380 K,・は臨界点。 臨界点近傍は収束しないので連続するよう破線で繋いだ。
図9. 2 CO2のTS図(BWR状態式による計算値。基準値を 220K, 1 MPaの液エントロピーを2 図9.2 CO2のTS図(BWR状態式による計算値。基準値を 220K, 1 MPaの液エントロピーを2.680 J/(g K)とした) 数字は, 圧力 [MPa]を示す。 臨界点近傍は収束しないので連続するよう破線で繋いだ。
Ⅱ.混合物物性の推算 今, ポピュラーな無極性物質100種の混合物を考える。 今, ポピュラーな無極性物質100種の混合物を考える。 これらの物質の二成分系混合物は, 100(100-1)/2! = 4,950系ある。 さらに三成分系混合物は, 100(100-1)(100-2) /(3!) = 161,700系ある。 四成分系混合物は, 100(100-1)(100-2)(100-3) /(4!) = 3,921,225系も存在する。 石油などは数百種の炭化水素の混合物であり, それぞれの混合物に状態式が存在する。そう考えると、混合物 は一見, 手に負えそうも無いが, 本法では多成分系であっても二成分間の相互作用だけを考えればいいことを示す。これは統計力学の「二体力近似」に対応した考えに基づく。
Hudson-McCoubrey理論によるmij 15定数一般化BWR状態方程式を混合物に適用すると例えば ここで Hudson-McCoubrey理論から ただし、一般にはmijは調整パラメータとされる. Hudson-McCoubrey理論 p.9-10
Hudson-McCoubrey理論の物性計算への適用 Nishiumiらはmijの変化に一番敏感な気液平衡を用いてファミリーごとの最適mijを決定した。 p.14
成分ファミリー法によるmij p.13
mijのイメージ mij: 異種分子間の引力の 大きさに関係するパラメータ 図8.9 CO2+C3H8系の0℃における気液平衡計算におよぼすmij の影響 1: mij =0.91, 2: 0.941 (図8.7に示した相関値), 3: 0.97。プロットは実験値
熱力学物性推算手順 Tci Vci Pci 成分 i 純物質 物性推算 熱力学 数値計算 蒸気圧データ → ωi Tcj Vcj Pcj Vci/Vcj Tcj Vcj Pcj mij 成分 j 混合物 物性推算 ωj 成分k・・・N ・・・・・・
混合物物性推算演示 CO2-C3H8系気液平衡の推算 自由度(独立変数の数)=成分数+2 ー 相数 bpred 自由度(独立変数の数)=成分数+2 ー 相数 bpred 1.T,P一定(フラッシュ計算) LV 自由度=2+2-2=2 → 0℃,15 atm 2.T,zi,V/F一定(露点・沸点計算) BD 0℃ bcomp
図11.2 CO2(1)-C3H8(2)系の0℃におけるPx図 (BWR状態式: )。 演示: bpred フラッシュと露点沸点計算/ bcomp 図11.2 CO2(1)-C3H8(2)系の0℃におけるPx図 (BWR状態式: )。 実験データ: W.W. Akers, R.E. Kelly, T.G. Lipscomb, Ind. Eng. Chem., 46, 2535 (1954)
Ⅲ.適用例 図11.4 CO2(1)+C3H8(2) 系0℃, におけるPV図 (実線)。破線は露点・沸点曲線。△は臨界点(BWR状態式:bpredよる計算値)
共沸点・臨界点の計算は苦手 -20.6℃における共沸CO2(1) + C2H6(2)系の挙動 (BWR式による)。相関値( =0.949) は破線,最適値 ( =0.930) は実線で示した。 実験データ:K. Nagahama, M. Hirata, J. Chem. Eng. Japan, 7, 323 (1974)
Michelsenによる等原料組成線と臨界軌跡 図15.3 CO2+C3H8系の臨界軌跡と等原料組成線。 〇はPoolenによる臨界軌跡実験値。□はBWR式による臨界値
臨界軌跡と等温線 図11.8 CO2(1)+C4H10(2) のPx図と臨界軌跡。 1:0℃, 2:37.8℃, 3:71.1℃, 4:104.4℃, 5:137.8℃。 Px実験値 (図上プロット) : Nagahamaら Px計算(実線)および臨界軌跡計算値(破線) : BWR状態式 実験データ。1:K. Nagahama, J. Chem. Eng. Japan, 7, 323 (1974);2-4:Poettmann, Dean, Petr.Ref., 25. 125 (1946),
三成分系気液平衡 3.83 Mpaにおける C2HF5(1)+C2H2F4(2)+ CH2F2(3) ●:液相、 ■:気相。計算はPR状態式による。破線は臨界軌跡。▲:臨界点 E:336.15K, F:348.15K, G:363.15K
逆行凝縮 CH4(1) +CO2(2) +H2S(3)系の逆行凝縮。実線はBWR式による計算値。△は臨界点,○は露点実験値。原料モル分率z1=0.4988, z2=0.0987 実験データ:H.J. Ng, D.B. Robinson, A.D. Leu, Fluid Phase Equilibria, 19, 273-286 (1985)
超臨界流体中における溶解度 BWR状態式による328.15 Kにおけるナフタレンの超臨界CO2に対する溶解度。
T,P一定ではΔG最少が安定 気液平衡のΔG/RT。300K, 2.0MPaにおけるイソブタン(1)-CO2 (2)系のΔG/RT計算。 A: 蒸気相としてのΔG/RT。 B: 液相としてのΔG/RT。C: 蒸気相としてのΔG/RT。 C:気 (V)・液 (L)2相として分離したときのΔG/RT。 共通接線 これは
反応平衡 大気圧における水蒸気改質反応の平衡反応率 水蒸気改質反応での温度T のlnK に及ぼす影響 1 atm (破線),2 atm (実線) 水蒸気改質反応での温度T のlnK に及ぼす影響
ヒートポンプ 断熱圧縮(等エントロピー) 凝縮液化 膨張(等エンタルピー) 断熱蒸発
混合冷媒ヒートポンプ設計とCOP 4 3 2 P 7 1 .... R22 -C3H8 系の 凝縮・蒸発条件は次の通り .... .... Twco= 310.15K, Twci= 305.15K, Tweo= 280.15K, Twei= 285.15K ... 最小熱交換温度差= 3.0℃ |---------------------------------------------------------- |Twci= 305.15K ---> Twco= 310.15K 冷却水or温水 |---------------------------------------------------------------------- | Pcool= 15.13atm 凝縮器 |T4= 313.15K T3= 313.15K T2= 329.32K |H4= 1003.74cal H2= 4699.36cal/mol | s2= 15.14cal/mol.K | Pevap= 5.57atm 蒸発器 |T7= 277.15K (HOM) T1= 277.17K |H4= 1003.74cal/mol H1=4196.65cal/mol | s1= 15.14cal/mol.K |Tweo= 280.15K <--- Twei= 285.15K 冷水 cop-h= 7.35 cop-c= 6.35 4 3 2 P 7 1
準安定 CO2のバイノーダル(飽和線)とスピノーダル(PR状態式による)。
相互拡散係数 D12=D120 Q 313.15 KにおけるCO2+ベンゼン系の相互拡散係数。 実線:(D120:Wilke-Chang式, Q:BWR状態式mij =0.93)。 ▽:実験値 Nishiumi et al.
未知な系、データの少ない系 Lydersen-Joback法 Δは寄与分(グループ寄与法)
結び 臨界定数、蒸気圧データから得られるω あるいは極性パラメータ(BWR)から純物質物性が推算できる。 無極性物質から成る混合物は二成分間相互作用パラメータmijが成分ファミリー法により相関できているので混合物性を推算できる。極性物質を含む系はそれぞれにmijを相関する必要がある。 推算結果が信用できるかどうかは実測値との一致性によってきまるが、それらしい値としては十分役に立つ。
ご清聴ありがとうございました
Ⅰ. 純物質物性の推算の基礎 - van der Waals型状態方程式 引力 斥力 すなわち 図1.3 CO2の気・液相PV図と飽和線(Peng-Robinson 状態式による計算値)
van der Waalsの鋭い直観
異種分子間相互作用パラメータmij がわかれば 混合物物性は純物質物性から求めることができる 二成分系のA0は A0= x12 A011 + 2 x1x2 A012 +x22 A022 ここで A011, A022は純物質のパラメータ。 交差パラメータA012は次式で求められる(BWR) すなわち、純物質パラメータTci, Vci, ωi (i=1,2)と 異種分子間相互作用パラメータm12がわかれば混合物物性 は推算できる。 純物質Vci/Vcj → ファミリーによるmij相関 → 系のmij Hudson-McCoubrey理論 p.9-10
物性推算の必要な時 新しいテーマ:系の物性が必要となる データブックにデータがあればOK でも大体データブックにあるような系で は新しい仕事の種にはならない 未知の系のそれらしい物性が知りたい。 ・でも勉強はしたくないし、時間も割けない ・秘密性が高いので他人に聞くわけにもいかない。 ・プロセスシミュレータの操作も敷居が高いし、高価なものなので企業でもそうそう利用できるものではない。また、得られた結果が正しいとかぎったものでもない。特に新しい系では信頼性は落ちる。 本発表はそのような人のために一つの方法を提供する