(b) 定常状態の近似 ◎ 反応機構が2ステップを越える ⇒ 数学的な複雑さが相当程度 ◎ 多数のステップを含む反応機構

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Division of Process Control & Process Systems Engineering Department of Chemical Engineering, Kyoto University
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課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること. この反応が1次であることを示すためには、 ln ([N 2 O 5 ] 0 / [N 2 O 5 ]) vs. t のプロットが原点を通る直線となることを示せばよい。 与えられたデータから、 t [s] ln ([N.
22 ・ 3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要 # 複雑な速度式 数値積分 (コンピューターシミュ レーション) # 単純な場合 解析的な解(積分形速度式) (a)1 次反応 1次の速度式 の積分形 [A] 0 は A の初濃度 (t = 0 の濃度.
データ解析
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
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◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
早稲田大学理工学部 コンピュータネットワーク工学科 山崎研B4 大野遙平
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6. ラプラス変換.
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(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
モデルに基づいた PID コントローラの設計 MBD とは モータ駆動系のモデリング モデルマッチング 5.1 節 出力を角速度とした場合
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
Introduction to Soft Computing (第11回目)
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
4章 開水路における不等流(2) 漸変流 4-1漸変流とは ① 断面形状や底面形状が緩やかに変わる流れ。
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
シミュレーション演習 狙い 初日 イントロ 2日目 プローブと信号 3日目 実験結果からの数理モデル作成
Chapter 26 Steady-State Molecular Diffusion
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
今後の予定 (日程変更あり!) 5日目 10月21日(木) 小テスト 4日目までの内容 小テスト答え合わせ 質問への回答・前回の復習
22・3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要
モル(mol)は、原子・分子の世界と 日常世界(daily life)をむすぶ秤(はかり)
22・3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
保守請負時を対象とした 労力見積のためのメトリクスの提案
振動体の振幅を一定とする 振動発電機負荷のフィードバック制御系の 安定性解析 長岡技術科学大学 ○ 永井 和貴 稲田 千翔之 小林 泰秀
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
2008年6月5日 非線形方程式の近似解 2分法,はさみうち法,Newton-Raphson法)
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
* Ehime University, Japan
V = VW nW + VE nE ヒント P142 自習問題5・1 溶液の体積を 1000 cm3 とすると、 溶液の質量は?
信号データの変数代入と変数参照 フィードバック制御系の定常特性 フィードバック制御系の感度特性
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
ヒント (a) P. 861 表22・3 積分型速度式 のどれに当てはまるか? (b) 半減期の定義は?  
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(b) 定常状態の近似 ◎ 反応機構が2ステップを越える ⇒ 数学的な複雑さが相当程度 ◎ 多数のステップを含む反応機構   ◎ 反応機構が2ステップを越える ⇒ 数学的な複雑さが相当程度   ◎ 多数のステップを含む反応機構        通常解析的には解けない ⇒ 別の解法が必要       ・ 速度式の数値積分       ・ 近似   ◎ 定常状態の近似        反応初期の誘導期の後は、     反応の主要な部分が起こっている間,     すべての反応中間体 I の濃度の変化     速度が,無視できるほど小さいと仮定

○ 逐次1次反応への適用              ⇒                 ゆえに、   これを P の生成速度式に代入すると、   ・ P は A の1次分解で生成   ・ 速度定数 ka (<< kb) (遅い方)

中間体

こ\\ kb [NO2][NO3] [NO] = -------------------- kc [N2O5] ka [N2O5] [NO3] =----------------------- (ka’ + kb) [NO2] kb [NO2][NO3] kb [NO2] ka [N2O5] ka kb [NO] = -------------------- =-----------------・--------------------- = ---------------------- kc [N2O5]     kc [N2O5] (ka’ + kb) [NO2] kc (ka’ + kb) この式を中間体濃度を 含まない形で表す ka [N2O5] ka kb =- ka [N2O5] + ka’ [NO2] ・--------------------- - kc ・----------------- ・[N2O5] (ka’ + kb) [NO2]    kc (ka’ + kb) ka ka’ ka kb     ka =(- ka + ------------ - ------------ ) [N2O5] = ----------- {(ka’ + kb)- ka’ + kb } [N2O5]        ka’ + kb ka’ + kb           ka’ + kb

課題 1

(c) 律速段階 ○ kb >> ka のとき ・ 最終生成物 P の生成 小さい速度定数だけに依存         ⇒ P の生成速度は I が生成する速度に依存           I が P に変化する速度には依存しない      ・ A → I のステップを反応  律速段階  ○ 律速段階      ・ 6車線の高速道路が1車線の橋に        つながっている状態に比喩   (交通の流れは橋を渡る速度で支配)      ・ 一般に最小の速度定数をもつステップで,        生成物ができるために絶対必要な通り道

○ 律速段階が存在する反応の速度式    ・ ほとんど見ただけで書ける場合が多い    ・ 反応機構の第1ステップが律速      ⇒ (全反応速度)=(第1ステップの速度) ○ 最も遅いステップ  活性化エネルギー最大 ○ 律速段階    反応に必須の物質の濃度が    低いときにも発生

(d) 速度論的および熱力学的制御 ○ 同じ反応物からいろいろな生成物ができる反応 # 一置換ベンゼンのニトロ化  ○ 同じ反応物からいろいろな生成物ができる反応     # 一置換ベンゼンのニトロ化         置換基の指向性によって,オルト,メタ,パラ置換生成物  ○ 2種の生成物 P1 と P2 ・ 反応のある途中のステップ(平衡に達する前)で       この2種の生成物が生じる相対比                        生成物の割合に対する速度論的制御  ○ 反応を平衡に達するまで進行      ⇒ 生成物の割合は熱力学的に決定         濃度の比は反応物と生成物すべての標準ギブスエネルギーが支配

(e) 前駆平衡 ◎ 中間体 I が原系物質 A, B と平衡に達する機構 ka kb ka‘ 前駆平衡 中間体の生成速度と,それが分解して原系に戻る 速度が,生成系ができる速度よりもずっと速い ○         ×                  ○ A, B, I が平衡にあると仮定  ⇒ ka[A][B] = ka’[I]     ○ P の生成速度             複合した速度定数をもつ2次の速度式

I について定常状態の近似

課題 2