生物機能工学基礎実験 2.ナイロン66の合成・糖の性質 から 木村 悟隆

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課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること. この反応が1次であることを示すためには、 ln ([N 2 O 5 ] 0 / [N 2 O 5 ]) vs. t のプロットが原点を通る直線となることを示せばよい。 与えられたデータから、 t [s] ln ([N.
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22 ・ 3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要 # 複雑な速度式 数値積分 (コンピューターシミュ レーション) # 単純な場合 解析的な解(積分形速度式) (a)1 次反応 1次の速度式 の積分形 [A] 0 は A の初濃度 (t = 0 の濃度.
1 運動方程式の例2:重力. 2 x 軸、 y 軸、 z 軸方向の単位ベクトル(長さ1)。 x y z O 基本ベクトルの復習 もし軸が動かない場合は、座標で書くと、 参考:動く電車の中で基本ベクトルを考える場合は、 基本ベクトルは時間の関数になるので、 時間で微分して0にならない場合がある。
4・6 相境界の位置 ◎ 2相が平衡: 化学ポテンシャルが等しい     ⇒ 2相が共存できる圧力と温度を精密に規定     ・相 α と β が平衡
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
反応ギブズエネルギー  ΔrxnG (p. 128).
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
炭水化物 砂糖,デンプン,セルロースなど DNAの構成成分,膜にも存在(糖脂質) ストレプトマイシン,ビタミンC 主にC, H, Oからなる
課題 1.
アルドースの立体配置 C3 トリオース キラル中心1個 21= 2種類の光学異性体 D,L-グリセルアルデヒド
一次関数のグラフ(式を求めること) 本時の流れ ねらい「グラフや座標など与えられた条件をもとに一次 関数の式を求める。」 ↓
3 一次関数 1章 一次関数とグラフ §3 一次関数の式を求めること          (3時間).
活性化エネルギー.
生体分子解析学 2017/3/ /3/16 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
医薬品素材学 I 4 物質の状態 4-1 溶液の蒸気圧 4-2 溶液の束一的性質 平成28年5月20日.
薬学物理化学Ⅲ 平成28年 4月15日~.
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める.
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
電気基礎実験 <<グラフ処理>>
○ 化学反応の速度     ・ 反応のある時点(たいていは反応開始時、ξ=0)について数値      として示すことが可能
固体電解コンデンサの耐電圧と漏れ電流 -アノード酸化皮膜の表面欠陥とカソード材料の接触界面-
福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
反応性流体力学特論  -燃焼流れの力学- 燃焼の流体力学 4/22,13 燃焼の熱力学 5/13.
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重力レンズ効果を想定した回転する ブラックホールの周りの粒子の軌道
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
(b) 定常状態の近似 ◎ 反応機構が2ステップを越える ⇒ 数学的な複雑さが相当程度 ◎ 多数のステップを含む反応機構
22・5 反応速度の温度依存性 ◎ たいていの反応 温度が上がると速度が増加 # 多くの溶液内反応
光化学 6章 6.1.5 FUT 原 道寛 名列__ 氏名_______.
速度式と速度定数 ◎ 反応速度 しばしば反応原系の濃度のべき乗に比例 # 速度が2種の原系物質 A と B のモル濃度に比例 ⇐ 速度式
2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用
微粒子合成化学・講義 村松淳司
モノカルボン酸の中和 【化学班】 大澤 祐介  多田 直弘  西村 有史.
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有機バイオ材料化学 5. カルボニルの反応 5-1 アルデヒド・ケトンのその他の反応 5-2 カルボン酸やその誘導体の反応
有機バイオ材料化学 2. 様々なアルケンおよびアルキンの反応.
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MOAデータベースを用いた 超長周期変光星の解析
黒体輻射 1. 黒体輻射 2. StefanのT4法則、 Wienの変位測 3. Rayleigh-Jeansの式
メンバー 梶川知宏 加藤直人 ロッケンバッハ怜 指導教員 藤田俊明
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
カルビンーベンソン回路 CO23分子が回路を一回りすると 1分子のC3ができ、9分子のATPと 6分子の(NADH+H+)消費される.
有機バイオ材料化学 5. カルボニルの反応 5-1 アルデヒド・ケトン.
平面波 ・・・ 平面状に一様な電磁界が一群となって伝搬する波
機器分析学 旋光度 旋光分散スペクトル 円偏光二色性(CD)スペクトル.
課題 1.
光プローブと化学反応シミュレーション -光プローブの性質をシミュレーションで理解する- 黒田研究室 担当:小森靖則
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
22・3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要
22・3 積分形速度式 ◎ 速度式: 微分方程式 ⇒ 濃度を時間の関数として得るためには積分が必要
福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
課題 1 N3H N3H 3 3 N2 H2 N2 H2.
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
Pb添加された[Ca2CoO3]0.62CoO2の結晶構造と熱電特性
My thesis work     5/12 植木             卒論題目 楕円偏光照射による不斉合成の ためのHiSOR-BL4の光源性能評価.
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
2008年6月5日 非線形方程式の近似解 2分法,はさみうち法,Newton-Raphson法)
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
課題 1 課題提出時にはグラフを添付すること.
3 一次関数 1章 一次関数とグラフ §4 方程式とグラフ         (3時間).
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
生体分子解析学 2019/11/ /11/10 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
ヒント (a) P. 861 表22・3 積分型速度式 のどれに当てはまるか? (b) 半減期の定義は?  
ヒント.
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生物機能工学基礎実験 2.ナイロン66の合成・糖の性質 から 木村 悟隆 nkimura@vos.nagaokaut.ac.jp 2002/10/4 グルコースの変旋光 生物機能工学基礎実験 2.ナイロン66の合成・糖の性質 から 木村 悟隆 nkimura@vos.nagaokaut.ac.jp

DL表記 問. D, Lと右旋性,左旋性(偏光面を右回り,左回りに回転させる性質)は関係あるか?

旋光度と立体配置 偏光面を右向きに回転する性質のあるもの(右旋性)を(+),右向きに回転する性質のあるもの(左旋性)を(−)で表記する.又,D,Lは,それぞれラテン語のdexter(右),laevus(左)に由来する.一般の有機化合物では,回転角の+-と立体構造のDLは対応しないため,D-グリセルアルデヒドを出発原料として合成される場合をD,L-グリセルアルデヒドを出発原料として合成される場合をLと呼ぶ.アミノ酸,糖については,ある付加的な規則によりDLを決める.現在では,一般の有機化合物の絶対配置の表記法としては,DL表記ではなくRS表記が使われる.

糖のDL表記 鎖状構造で書いた時,カルボニル基からもっとも離れた不斉炭素の絶対配置で示す. D-グルコース

旋光度計 ℓ ℓ: セル長 (dm) C :濃度 (g ml-1) 比旋光度 a:旋光度 (deg) 試料温度 測定波長(DはNaのD線,543.2 nm オレンジ色)

グルコースの変旋光 グルコースは結晶ではα形,水に溶かすと鎖状構造を経由してβ形が増加し,ある程度時間が経つと平衡に達する.α形に比べてβ形の旋光度は小さいので,溶解後,時間の経過と共に旋光度が小さくなる→変旋光.

グルコースの変旋光 水溶液中ではβ形の方が安定 結晶中ではα形

アセタールの生成 例)アルデヒドとアルコールの反応 (不安定,単離出来ない) (酸で容易に開裂する)

ヘミアセタール生成の反応機構

実測の比旋光度 多量に存在するα−アノマーとβ−アノマーの濃度平均値 (2) c0:初期濃度(全グルコース濃度) ca:α−アノマー濃度 cb:β−アノマー濃度 [a]obs:観測される比旋光度 [a]a:α−アノマーの比旋光度 [a]b:β−アノマーの比旋光度

反応速度 温度,活性化エネルギーとの関係 温度が上昇すると,反応速度はどれだけ上がるか,模式的に示しなさい.

温度と反応速度 エネルギー DE 反応の進む方向 k : 反応速度 ΔE: 活性化エネルギー A : 定数 R : 気体定数

一次反応と反応速度(1) k 不可逆反応 A→B の場合 問.上記の微分方程式を解け.t=0の時の濃度を[A]0とする.

解答 (Cは積分定数) t=0の時,[A]=[A]0を代入するとC=-ln[A]0

例題 ある気体Aの熱分解反応を調べたところ表のような濃度変化が得られた.速度定数を求めよ.([A]を反応時間に対して片対数プロットした時の傾きから求まる.) 反応時間 / 分 [A] / mol dm-3 5.00 x 10-4 2 3.38 x 10-4 4 2.22 x 10-4 6 1.49x 10-4 8 1.02 x 10-4

解答 グラフの傾きより 反応速度定数k=0.0033 s-1 [A] / mol dm-3

一次反応と反応速度(2) 可逆反応A Bの場合 k k-1 平衡状態ではAの濃度は変化しないので [A]e, [B]e :平衡状態における濃度

一次反応の平衡定数と反応速度 k 可逆反応 A  Bの場合 k-1 K : 平衡定数 [A]e, [B]e :平衡状態における濃度

この学生実験での解析手順 テキスト(10), (11)式を参照してください.