第5章 貨幣と金融市場.

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第8章 貯蓄,投資と金融システ ム 1.アメリカ経済における金融機関と市場 ( ↑ 日本経済でもほぼ同じ) 金融システムは、ある人の貯蓄と別の人の投資 を結びつける。投資の例として、 起業のための設備投資 住宅を購入する 金融システムは、金融市場と金融仲介機関の2 つのカテゴリーに分けられる 1 8.
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短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
貨幣について. 講義概要 貨幣の概念 名目と実質貨幣ストック 貨幣に対する需要 政府による金融政策.
貨幣需要 ケインズの General Theory の15章 The Psychological and Business Incentives to Liquidity.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
金融経済論(小川英治) 1 貨幣の機能と貨幣需要. 金融経済論(小川英治) 2 貨幣の機能 計算単位(価値尺度) 交換される商品の価値をある貨幣の数量で 一元的に表示する機能 交換手段 貨幣がすべての商品と交換され、すべての 商品の交換の媒介となる機能 価値貯蔵手段 貨幣が一定の価値を少なくとも一時的に蓄.
1 経済学(第 9 週) 第 3 章 貨幣と金融取引 [1-2] 前回のキーワード: ◆ 資金過不足の発生 ◆ 資金と資産 ◆ 貨幣とは何か ・ 価値基準財(ニュメレール) ・ 決済手段,一般受領性 ・ 流動性と収益性 ・ 通貨の区分( M 1
ケインズ型「短期消費関数」とクズネッツ 型 「長期消費関数」を矛盾なく説明する理論 フランク・モジリアニとアルバート・ア ンドウは ライフ・サイクル仮説を提唱した。 個人の消費行動は、今期の所得によって 決めれると言うよりも、貯蓄を通じて、そ の個人が一生の間に消費することのできる 所得の総額 ( 生涯所得.
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第4章 IS-LMモデル 労働市場との関係 IS・LMの交点(Y0, i0)は財市場と貨幣市場において,それぞれ需給均衡が達成しているが,労働市場において需給均衡を保証していない。 例えば,賃金の硬直性などの理由により,非自発的失業者が存在する可能性は十分にある。 完全雇用GDPがYFであるとすると,この経済にはY0YFに相当する所得不足が存在することになる。この不足は有効需要の不足によって発生したものである。
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GDPに関連した概念.
VARモデルによる分析 高橋青天ゼミ 製作者 福原 充 増田 佑太郎 鈴木 茜
『マクロ金融特論』 (3) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論2016.
為替介入 MBA国際金融2016.
伸縮価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
第4回講義 マクロ経済学初級I  白井義昌.
マクロ経済学初級I 第5回講義.
第3章 消費関数.
第1章 貨幣とは何か③  §3 貨幣の定義 (1)貨幣の範囲・定義 (2)決済システム (3)貨幣価値 第4回 
経済入門 ⑦ 西山 茂.
貨幣の流通速度 貨幣が平均して1年間にいくつの経済主体 の間を移動するのかを表わす MV=取引総額(年間) Vは流通速度あるいは平均回転率.
V. 開放経済のマクロ経済学.
VI 短期の経済変動.
V. 開放経済のマクロ経済学.
マクロ経済学体系のフローチャート 財 市 場 (IS曲線) IS・LM モデル 総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定 インフレと
固定相場制下の財政・金融政策 田中 靖人.
日本の経常収支黒字  → 外国に失業輸出? 高齢化の進展 → 日本の国内貯蓄超過の減少         → 日本の経常収支黒字は減少へ.
貨幣供給・需要 専修大学 経済の世界 作間 逸雄.
財政健全化の嘘 と 政府貨幣のお話!.
金融論 2回目講義.
7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓
第6章 IS-LMモデル.
第6章 生計費の測定 生計費=生活費(cost of living) 生活水準の比較
第4章 貨幣数量説は正しいか リカードからクルーグマンまで
お金の仕組み!.
IV 長期における貨幣と価格.
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第5章 貨幣と金融市場

1. 我が国の金融市場 2012年金融資産負債残高表

2. 貨幣の需要 取引需要 日常的な取引に備えての貨幣保有 ⇒GDPの水準とともに増加 予備的需要 2. 貨幣の需要 取引需要 日常的な取引に備えての貨幣保有  ⇒GDPの水準とともに増加 予備的需要 病気、災害などの不意の支出に備えての貨幣保有  ⇒利子率の減少関数 貨幣の投機的需要 貨幣の安全資産としての性質に基づく貨幣需要

3. 利子率と債券価格 債券利子率 債券 額面価格P* 表面利子率 i 毎年の利子支払 D=P*×i n年物 市場価格 PB 利子率r

コンソル債  満期無限大

4. 貨幣の投機的需要 債券価格と利子率は反対に動く 現在の利子率上昇⇒債券価格下落 ⇒将来債券価格の上昇期待増大⇒債券購入増加⇒貨幣需要減少 現在の利子率低下⇒債券価格上昇 ⇒将来債券価格の下落期待増大⇒債券購入減少⇒貨幣需要増加

5. 利子率の決定 r

6. 貨幣需要:在庫理論アプローチ 貨幣保有 → 機会費用 → 債券で運用していれば得られたであろう利益 Bauml と Tobin: 在庫理論アプローチ 個人は総額Y円の現金→1期間内に均等支出 n: 預金口座からの引き出し回数 c:引き出しにかかる費用

引き出し回数と現金保有量

引き出し回数1回 → 平均現金保有額 現金保有費用合計 → 引き出し回数n回 → 平均現金保有額

現金保有費用最小化 最適引き出し回数 現金平均保有額L

[在庫理論アプローチ:例題] ある個人は毎日同じ額だけ使い、1ケ月に合計36万円支出する。必要な現金は毎回同額銀行から引き出すとする。 預金口座からの引き出しには一回につき、200円の費用がかかり、他方預金には平均預金残高に対して月率1%の利子がつくものとする。この個人が手元に保有する現金の平均残高はいくらか。

7. 貨幣の定義 貨幣の定義 マネーサプライ残高 ハイパワード・マネー 7. 貨幣の定義 貨幣の定義 マネーサプライ残高 ハイパワード・マネー 日銀の供給する現金通貨に、市中銀行が日銀に預けている預金額を加えたもの

8. 貨幣供給のメカニズム 各経済主体のバランスシート

信用創造プロセス 政府⇒民間へ現金通貨供給 民間 ⇒ 市中銀行⇒ 新たな貨幣供給増加

民間⇒ このプロセスが無限に続くと

10. 実証分析 貨幣需要関数 L: 名目貨幣需要 YP:GDPデフレーター M2N: 名目貨幣供給量 推定結果

推定結果