減損会計に対する 税務の対応 坂本ゼミナール 2018/9/18
本日のもくじ Ⅰ 減損会計の概要 Ⅱ 減損会計に対する税務の対応 III 結び 1.減損会計の意義 2.減損会計導入の背景 Ⅰ 減損会計の概要 1.減損会計の意義 2.減損会計導入の背景 3.減損会計導入の経緯 4.減損会計の適用会社と実施時期 5.減損会計の会計処理 Ⅱ 減損会計に対する税務の対応 1.税法規定と減損処理 2.資産売却による対応 3.評価損規定による対応 4.減価償却規定による対応 5.減損会計の派生的影響 III 結び 2018/9/18
参考資料1 減損会計の記事数 合計 121 354 475 日経 見出し 記事 合計 2002/4 4 3 7 2002/5 2 13 15 参考資料1 減損会計の記事数 日経 見出し 記事 合計 2002/4 4 3 7 2002/5 2 13 15 2002/6 8 10 2002/7 1 2002/8 12 2002/9 6 2002/10 2002/11 9 2002/12 2003/1 2003/2 2003/3 17 33 50 2003/4 26 2003/5 5 19 24 2003/6 2003/7 2003/8 2 5 7 2003/9 9 2003/10 12 14 2003/11 17 22 2003/12 2004/1 4 6 10 2004/2 21 2004/3 15 2004/4 18 28 2004/5 35 44 2004/6 2004/7 1 16 2004/8 19 2004/9 23 合計 121 354 475 2018/9/18
2018/9/18
参考資料1 減損会計の記事数 合計 121 354 475 日経 見出し 記事 合計 2002/4 4 3 7 2002/5 2 13 15 参考資料1 減損会計の記事数 日経 見出し 記事 合計 2002/4 4 3 7 2002/5 2 13 15 2002/6 8 10 2002/7 1 2002/8 12 2002/9 6 2002/10 2002/11 9 2002/12 2003/1 2003/2 2003/3 17 33 50 2003/4 26 2003/5 5 19 24 2003/6 2003/7 2003/8 2 5 7 2003/9 9 2003/10 12 14 2003/11 17 22 2003/12 2004/1 4 6 10 2004/2 21 2004/3 15 2004/4 18 28 2004/5 35 44 2004/6 2004/7 1 16 2004/8 19 2004/9 23 合計 121 354 475 2018/9/18
1.減損会計の意義 減損会計とは、収益性の低下により投資額を回収する見込みがたたなくなった帳簿価額を、一定の条件のもとで、回収可能性を反映させるように減額する会計処理である。 すなわち、将来に損失を繰り越さないための臨時的な帳簿価額の減額(帳簿価額の減額修正)である。 2018/9/18
2.減損会計導入の背景 IAS(国際会計基準)の大枠が決定 会計ビッグバンの総仕上げ バブル崩壊後の固定資産価格の暴落による含み損の処理 2018/9/18
3.減損会計導入の経緯 (1)企業会計審議会における検討 2002年8月9日 「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」 (2)企業会計基準委員会における検討 2003年10月31日 「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」 2018/9/18
4.減損会計の適用対象会社と実施時期 2006(平成18)年3月期決算から強制適用 ⇒ 商法上の大会社 (資本金5億円以上、または 2006(平成18)年3月期決算から強制適用 ⇒ 商法上の大会社 (資本金5億円以上、または 負債総額200億円以上の株式会社) 証券取引法が採用される上場企業 中小企業には強制されない!! 連結財務諸表を作成している適用会社の 連結子会社や関連会社は例外 2004(平成16)年3月期決算から 減損会計の早期適用を実施する企業が多く見られる 2018/9/18
5.減損会計の会計処理 資産の グルーピング 減損の兆候 減損処理不要 減損損失の 認識 減損処理不要 減損損失の 測定 会計処理および グルーピング なし 減損の兆候 減損処理不要 あり 減損損失の 認識 なし 減損処理不要 あり 減損損失の 測定 会計処理および 開示 2018/9/18
Ⅱ 減損会計に対する税務の対応 1 税法規定と減損処理 2 資産売却による対応 3 評価損規定による対応 4 減価償却規定による対応 Ⅱ 減損会計に対する税務の対応 1 税法規定と減損処理 ①金融庁の対応 ②日本公認会計士協会の対応 2 資産売却による対応 3 評価損規定による対応 4 減価償却規定による対応 ①普通償却 ②臨時償却 5 減損会計の派生的影響 ①同族会社の特別規定に対する影響 ②受取配当金負債利子計算に対する影響 ③資産税に対する影響 2018/9/18
1.税法規定と減損処理 税制改正の要望書を公開!! 対応されなかった(´ヘ`;) 税法では減損会計の規定はいまだ定まっていない 金融庁 日本公認会計士協会 税制改正の要望書を公開!! 対応されなかった(´ヘ`;) 2018/9/18
2.資産売却による対応 現金 200万円 土地 1,000万円 売却損 800万円 売却損 800万円 800万円 1000万円 200万円 現金 200万円 土地 1,000万円 売却損 800万円 2018/9/18
・・・地価の下落やデフレの悪循環を引き起こす可能性がある デメリット ・・・財務体力のある企業に限られる ・・・事務コストがかかる ・・・地価の下落やデフレの悪循環を引き起こす可能性がある 2018/9/18
3.評価損規定による対応 評価損規定で対応できるか・・? 評価損規定→法33条1項では評価損の損金算 入を認めていない ↓しかし… 減損処理→現在、税務上の規定はない 評価損規定で対応できるか・・? 評価損規定→法33条1項では評価損の損金算 入を認めていない ↓しかし… 法33条2項「特定の事実(法令68-3)」が発生したときは評価損が計上できる 2018/9/18
しかし!! 例) 評価損として計上 その理由は…(?_?) 減損損失はこの「特定の事実」に当てはまらない 特定の事実に 当てはまる 災害等 当てはまる 災害等 1000万円 400万 600万 評価損として計上 しかし!! 減損損失はこの「特定の事実」に当てはまらない その理由は…(?_?) 2018/9/18
評価損規定での対応は困難 企業会計上 法人税法上 保守主義の原則 債務確定主義 損失は見込であっても 計上される 損失は確定しなければ 認められない 評価損規定での対応は困難 2018/9/18
4.減価償却規定による対応 減価償却規定で対応できるか? 法人税法基本通達7-5-1(5)を検討 上限⇒ 償却 不足額 上限⇒ 償却 不足額 ※2003年12月16日の改正により、 減損損失が評価損に含まれることとなった 上限⇒ 償却 不足額 超過 超過 上限⇒ 上限⇒ 減損 損失 償却費 除却損 評価損 減損損失 償却費 2018/9/18
普通償却規定の枠内で減損損失の損金算入が可能か? (1)普通償却規定での対応 普通償却規定の枠内で減損損失の損金算入が可能か? 普通償却費 減損損失 発生源 通常の営業活動における減価償却資産を使用した事実 固定資産の収益性が低下し、投資額が回収できなくなった場合 性質 当該期間に獲得した収益と期間的に対応 収益獲得に貢献するものではない 困難(××;) 2018/9/18
困難(>_<。)~ (2)臨時償却規定での対応 陳腐化償却 減損会計 対象資産 減価償却資産に限定 有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産 目的 当初予見することのできなかった原因等により減価部分を修正する 将来の収益性の低下を反映させるため帳簿価額を減額する 困難(>_<。)~ 2018/9/18
それでは全く兆しが見えないのか? 償却費 普通償却規定の枠内において損金算入させる余地はまだ存在する! なぜならば.. 約3兆円 上限⇒ 普通償却規定の枠内において損金算入させる余地はまだ存在する! 上限⇒ 償却 不足額 約3兆円 なぜならば.. 償却不足額 減損損失(見込額) 減損損失(見込額) 平成16年度 (早期適用) 平成17年度 (強制適用) 約3兆円 入る余地が ある!! 入る余地が ある!!! 1兆6千万円 1400億円 2018/9/18 償却費
5.減損会計の派生的影響 減損会計の減損損失の計上が 税務の派生的な面に影響を与える 分子 総資産 分母 1、同族会社特別規定に対する影響 税務の派生的な面に影響を与える 分子 総資産 分母 減損損失 1、同族会社特別規定に対する影響 2、受取配当金負債利子計算に対する影響 3、資産税に対する影響 2018/9/18
IASC・SFAS・わが国の減損会計基準の概要の比較図 Ⅲ 減損会計をめぐる国際的動向 IASC・SFAS・わが国の減損会計基準の概要の比較図 IAS36号 SFAS121号 わが国 認識 回収可能価額が期末帳簿価額を下回るとき 割引前キャッシュフローが期末帳簿価額を下回るとき 測定 帳簿価額と回収可能価額の差額 帳簿価額と公正価値の差額 戻入 損益計算書における収益として認識 禁止 2018/9/18
企業へのデメリットが大きく、悪影響を避けられない!! III. 結び 2006年3月期決算より強制適用 (2005年3月期決算より早期適用) 資産売却による対応 企業へのデメリットが大きく、悪影響を避けられない!! ①評価損規定による対応 ②減価償却規定による対応 2018/9/18
②減価償却規定による対応 データ上、普通償却限度額の枠内において 損金算入の 余地あり 税法の早急な対応が望まれる 2018/9/18