医薬品素材学 I 4 物質の状態 4-1 溶液の蒸気圧 4-2 溶液の束一的性質 平成28年5月20日.

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医薬品素材学 I 月日講義内容担当者 4/12 1 物質の状態 I 【総論、気体の性質】 安藝 4/19 2 物質の状態 I 【エネルギー、自発的な変 化】 安藝 4/26 3 物質の状態 II 【物理平衡】安藝 5/10 4 物質の状態 II 【溶液の化学】池田 5/17 5 物質の状態 II 【電気化学】池田.
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熱流体力学 第4章 番外編 熱力学的系 状態方程式 熱力学で扱う偏微分公式 熱力学の第一法則(工学系と物理系)
FUT 原 道寛 名列___ 氏名_______
4・6 相境界の位置 ◎ 2相が平衡: 化学ポテンシャルが等しい     ⇒ 2相が共存できる圧力と温度を精密に規定     ・相 α と β が平衡
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
1.ボイルの法則・シャルルの法則 2.ボイル・シャルルの法則 3.気体の状態方程式・実在気体
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
反応ギブズエネルギー  ΔrxnG (p. 128).
物質量 原子量・分子量・式量.
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
医薬品素材学 Ⅰ 相平衡と相律 (1) 1成分系の相平衡 相律 クラペイロン・クラウジウスの式 (2) 2成分系の相平衡 液相―気相平衡
化学反応式 化学反応:ある物質が別の物質に変化 反応物 → 生成物 例:酸素と水素が反応して水ができる 反応物:酸素と水素 生成物:水
課題 1.
物理化学(メニュー) 0-1. 有効数字 0-2. 物理量と単位 0-3. 原子と原子量 0-4. 元素の周期表 0-5.
x: 質量モル濃度を mol kg-1 単位で   表した時の数値部分 上の式は実験(近似)式であり、 ½乗に物理的な意味はない。
薬学物理化学Ⅲ 平成28年 4月15日~.
課題 1 P. 188 解答 ΔvapS = ΔvapH / T より、 T = ΔvapH / ΔvapS 解答
第二回 連立1次方程式の解法 内容 目標 連立1次方程式の掃出し法 初期基底を求める 連立1次方程式を掃出し法を用いてExcelで解析する
固体電解コンデンサの耐電圧と漏れ電流 -アノード酸化皮膜の表面欠陥とカソード材料の接触界面-
福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
一成分、二相共存系での平衡 一成分 固液共存系    氷-水.
反応性流体力学特論  -燃焼流れの力学- 燃焼の流体力学 4/22,13 燃焼の熱力学 5/13.
H25年度 基礎薬学特別講義 I 反応速度 CBT精選問題 平成25年10月24日.
輸血の生理学 大阪大学輸血部 倉田義之.
◎熱力学の最も単純な化学への応用   純物質の相転移
科学的方法 1) 実験と観察を重ね多くの事実を知る 2) これらの事実に共通の事柄を記述する→法則 体積と圧力が反比例→ボイルの法則
生物機能工学基礎実験 2.ナイロン66の合成・糖の性質 から 木村 悟隆
速度式と速度定数 ◎ 反応速度 しばしば反応原系の濃度のべき乗に比例 # 速度が2種の原系物質 A と B のモル濃度に比例 ⇐ 速度式
新しい定義に基づくpH測定  国際的に認証されうるpH値とするために    計測標準研究部門 無機分析科    無機標準研究室    中村 進    
物理化学III F 原道寛.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
緩衝液-buffer solution-.
専門海洋生命・分子工学基礎実験 タンパク質の取扱い (1)
蒸気圧と沸点 『水の沸点は変化する』.
課題 1 P. 188.
課題 1 ⇒ V = VW nW + VE nE 溶液の体積を 1000 cm3 とすると、 溶液の質量は?                        水、エタノールの物質量は?
演習課題 1 (P. 137).
化学生命理工学実験 II アフィニティークロマトグラフィー (2)
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
レポートの書き方 ホチキス (ノリ付け不可) レポート(宿題): 鉛筆不可 演習、ミニテスト: 鉛筆可 左右上下に 25mmの マージン
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
Keirin 生物 第1部 原形質分離と 植物細胞の等張液濃度 第1部 実験2 <原形質分離と植物細胞の等張液濃度>
福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
課題 1 P. 188.
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
低温物体が得た熱 高温物体が失った熱 = 得熱量=失熱量 これもエネルギー保存の法則.
◎熱力学の最も単純な化学への応用   純物質の相転移
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
モル(mol)は、原子・分子の世界と 日常世界(daily life)をむすぶ秤(はかり)
近代化学の始まり ダルトンの原子論 ゲイリュサックの気体反応の法則 アボガドロの分子論 原子の実在証明.
福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
課題 1.
(解答) 式(6.12)  Δp = (ΔH / ΔV )×ln (Tf / Ti)
熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
中和滴定の実験器具.
中 和 反 応.
課題 1.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
課題 1 ⇒ V = VW nW + VE nE 溶液の体積を 1000 cm3 とすると、 溶液の質量は?                        水、エタノールの物質量は?
電解質を添加したときの溶解度モデル – モル分率とモル濃度
V = VW nW + VE nE ヒント P142 自習問題5・1 溶液の体積を 1000 cm3 とすると、 溶液の質量は?
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
K2 = [ln K] = ln K2 – ln K1 = K1.
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
ヒント (a) P. 861 表22・3 積分型速度式 のどれに当てはまるか? (b) 半減期の定義は?  
ヒント.
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医薬品素材学 I 4 物質の状態 4-1 溶液の蒸気圧 4-2 溶液の束一的性質 平成28年5月20日

① ラウールの法則 ② ベンゼンとトルエンの蒸気の分圧 ③ 混合物の全蒸気圧: p 溶液の蒸気圧 問1 純ベンゼンの蒸気圧は 25℃ で 12.6 kPaである。純トルエンの蒸気圧は25℃ で 3.80 kPa である。ベンゼン 1.00 mol とトルエン 4.00 mol を混合した混合物の蒸気圧を求めよ。ベンゼンとトルエンは理想溶液とする。 ① ラウールの法則 ② ベンゼンとトルエンの蒸気の分圧 ③ 混合物の全蒸気圧: p

② ベンゼンとトルエンの蒸気の分圧: pB, pT 溶液の蒸気圧 問1 純ベンゼンの蒸気圧は 25℃ で 12.6 kPaである。純トルエンの蒸気圧は25℃ で 3.80 kPa である。ベンゼン 1.00 mol とトルエン 4.00 mol を混合した混合物の蒸気圧を求めよ。ベンゼンとトルエンは理想溶液とする。 ① ② ベンゼンとトルエンの蒸気の分圧: pB, pT ③ 混合物の全蒸気圧: p

① ラウールの法則からベンゼンとトルエンの蒸気の分圧 溶液の蒸気圧 問2 純ベンゼンの蒸気圧は 25℃ で 12.6 kPaである。純トルエンの蒸気圧は25℃ で 3.80 kPa である。溶液中、トルエンのモル分率が 0.6 の 溶液と平衡にある蒸気の組成はどのようになるか。ベンゼンとトルエンは理想溶液とする。 ① ラウールの法則からベンゼンとトルエンの蒸気の分圧 ② 混合物の全蒸気圧: p ③ 蒸気の組成 ベンゼン:トルエン   0.7  : 0.3

2成分系の相平衡 (a) 圧力-組成図 xT(l) T のモル分率が 0.6 の溶液(液相)における、蒸気(気相)中 のT のモル分率を求めてみよう。 (a) 圧力-組成図 ベンゼン(B) -トルエン(T) 溶液 (理想溶液) ① 溶液(液相)中のモル分率 xT(l) = 0.6 蒸気圧 p = (3.8×0.6) + (12.6×0.4) = 7.3 kPa B の蒸気圧 12.6 kPa 液相 ② 蒸気(気相)中の T のモル分率 液相線(溶液の蒸気圧) xT(g) = (3.8×0.6)/7.3 = 0.3 xT(g) タイライン xT(l) 気相線 T の蒸気圧  3.8 kPa 溶液(液相) トルエンのモル分率 0.6 蒸気(気相) トルエンのモル分率 0.3 気相

① 溶液の束一的性質 ② 溶質の質量モル濃度 bj ③凝固点降下度 問3 スクロース 411 g を水 1.5 kg に溶かした溶液の凝固点降下を求めよ。ただし、水の凝固点降下定数は、 1.86 K∙kg∙mol-1である。ただし、スクロースのモル質量は M = 342 g mol-1 である。 ① 溶液の束一的性質 Kb : 沸点上昇定数(K∙kg∙mol-1) 沸点上昇度(K) Kf : 凝固点降下定数(K∙kg∙mol-1) 凝固点降下度(K) bj : 質量モル濃度(mol∙kg-1) ② 溶質の質量モル濃度 bj   ③凝固点降下度

② 130.5 g /L 中グルコースの物質量を x mol、スクロースの物質量を y mol として連立方程式を立てる。 溶液の束一的性質 問4 グルコースとスクロースの混合物 65.25 g を水 500 g に溶かした溶液の凝固点降下は 0.93 K であった。ただし、水の凝固点降下定数を 1.86 K kg mol-1 とすると、この混合物のグルコースとスクロースのモル比はいくらか。(グルコースのモル質量 180 g mol-1 ) ① 混合物の質量モル濃度 ② 130.5 g /L 中グルコースの物質量を x mol、スクロースの物質量を y mol として連立方程式を立てる。 これより、モル比は、 グルコース:スクロース = 1:1  となる。

① 浸透圧 P ファントホップの式 ② n に注意 ③ SI 単位を用いる 溶液の束一的性質 問5 0.900 g NaCl(モル質量 58.4 g mol-1)の 100 mL 水溶液の 37.0℃ における浸透圧)(Pa)を求めよ。ただし、NaCl は完全に電離し、溶液は理想溶液とする。 ① 浸透圧 P  ファントホップの式 ② n に注意   n は粒子数単位として 2 倍となる。  ③ SI 単位を用いる

① 浸透圧P から濃度を求める。 ② グルコースの量 m 溶液の束一的性質 問6 血液の浸透圧は 37℃ で 775 kPa である。血液の場合と等しい浸透圧を示すグルコース溶液 1 L に含まれるグルコースの量(g)はいくらか。 ① 浸透圧P から濃度を求める。 ② グルコースの量 m

終了

2成分系の相平衡 液相―気相平衡 (a) 圧力-組成図 (1) A と B の溶液(Bのモル分率   )の全蒸気圧(  )は、各成分の蒸気分圧の和である。 (a) 圧力-組成図 (2) 溶液と平衡にある蒸気の組成   (           ) 【ポイント】 ①圧力-組成図では、液相線は常に気相線より上にある。 ② 平衡にある液相と気相では、各成分のモル分率が異なる。 ③ 蒸発しやすい蒸気圧の大きな成分は、液相より気相に濃縮されている。