第3章 学習のしくみを知る 効果的な授業をするために(2).

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   学習・行動理論   行動分析学のご紹介 (3)行動の原則を行動的環境心理学の研究から確認する.
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第3章 学習のしくみを知る 効果的な授業をするために(2)

道案内 ♢なぜ教育心理学を勉強するか? (0) イントロダクション (1) 心理学とは何か? ♢効果的な授業をするために (2) 記憶のしくみを知る (4) やる気の心理学 ♢生徒を正しく評価するために (5) 評価はだれのため? ♢生徒の心を理解するために (6) 性格とは何か? (7) 性格の測定 ♢生徒の心の問題に対処する (8) 心の病気とは何か? (9) 心の病気を治療する ♢教育問題に対処する     (10) 教育問題 (3) 学習のしくみを知る

メインメッセージ3 ほめることは学習の支え ほめ方を考えよう

条件づけ レスポンデント条件づけ (古典的条件づけ) オペラント条件づけ (道具的条件づけ)

古典的条件づけ パブロフの実験

古典的条件づけ パブロフの実験

古典的条件づけ パブロフの実験 条件刺激 無条件刺激 音 エサ 無条件反射 条件反射 唾液

古典的条件づけ パブロフの実験 条件刺激 音 条件反射 唾液

古典的条件づけ 反射を引き起こす刺激と 中性刺激を対提示する

古典的条件づけ 恐怖条件づけ 条件刺激 無条件刺激 電撃 音 無条件反射 条件反射 恐怖

古典的条件づけ 恐怖条件づけ 条件刺激 音 条件反射 恐怖

古典的条件づけ アルバート坊やの実験 条件刺激 無条件刺激 音 ネズミ 無条件反射 条件反射 恐怖

古典的条件づけ アルバート坊やの実験 条件刺激 ネズミ 条件反射 恐怖

般化 アルバート坊やの実験 条件刺激と似た刺激にも 条件反応が生じる ウサギ ネコ ネズミ 恐怖 白ひげ

般化

消去 アルバート坊やの実験 条件刺激 ネズミ 条件反射 恐怖

消去 アルバート坊やの実験 条件刺激だけを提示する 条件刺激 ネズミ 恐怖

分化

古典的条件づけの応用 夜尿症の治療

古典的条件づけの応用 水分検出 夜尿症の治療 条件刺激 無条件刺激 膀胱圧 音 無条件反射 条件反射 覚醒

サブメッセージ3.1 人は無意識に モノとモノの関係を 学習している

オペラント条件づけ スキナーボックス

オペラント条件づけ VTR3.2 先行刺激 自発行動 強化子 ピカソの絵 強化 つつく エサ 反応数の増加

オペラント条件づけ ある先行刺激のもとで 行動を起こすとその直後に 報酬が与えられる

オペラント条件づけ 幼稚園児の生活習慣 先行刺激 自発行動 強化子 おかたづけ 強化 手洗い ほめる 反応数の増加

行動を増やしたい時 シェイピング 直後強化

シェイピング レバー向く エサ 強化 レバー嗅ぐ エサ 強化 自発行動 上体起こす エサ 強化 レバー押し エサ 強化

シェイピング 目標行動に近い反応を 少しずつ強化する スモールステップの原理

強化のタイミング [データ] 10 1 3 5 7.5 15 20 8 6 4 2 レバー押しと強化との遅延時間(秒) 1分間あたりの反応数

強化のタイミング 遅延強化 低反応率 直後強化 高反応率

強化子の種類 <一次性強化子>  食餌性強化子:食べ物、飲み物など  感覚性強化子:視覚、聴覚、触覚など        「気持ちいいこと」

強化子の種類   <ニ次性強化子>  具体的強化子:表彰状、バッジ、おもちゃなど 名誉・特権強化子:クラス委員、キャプテン、          宿題免除など

高頻度活動が後に続く活動は頻度が増加する 強化子の種類   <ニ次性強化子>  高頻度活動強化子:好きな遊びをする、          絵をかく、算数など プレマックの原理 高頻度活動が後に続く活動は頻度が増加する

強化子の種類   <ニ次性強化子>  般性強化子:ためると他の強化子と交換できる       シール、スタンプなど 社会性強化子:ほめること

「すばらしい! 時間内に課題を全部できたね」 社会性強化子 よい強化とは? 「すばらしい! 時間内に課題を全部できたね」 承認的強化子 情報的強化子

社会性強化子 承認的強化子 情報的強化子 「すばらしい!」 「時間内に課題が全部できたね」 「がんばったね」 「前に比べて2割も増えたよ」 「時間内に課題が全部できたね」       「がんばったね」 「前に比べて2割も増えたよ」        「上出来だよ」 「ここに気をつければ次はもっとできるよ」 (行動の正しさ) (目標への接近) (修正点)

サブメッセージ3.2 子どもの行動の強化子を 注意深く見つけだそう

行動を減らしたい時 自発行動 消去 レバー押し エサ 反応数の減少

行動を減らしたい時 自発行動 不快 罰 レバー押し 電撃 反応数の減少

行動を減らしたい時 消去 快刺激を取り去る 罰  不快刺激を与える

消去と罰の比較 [データ3.1] 累積反応数

罰の問題点 罰を受けない状況での行動 罰に対する「慣れ」 罰が持つ、肉体的・精神的苦痛

行動を減らしたい時 消去 快刺激を取り去る 罰  不快刺激を与える 多行動分化強化  標的行動と両立しない  他行動を強化する

サブメッセージ3.3 悪い行動を減らそうとするより 良い行動を増やす努力を!

先行条件の与え方 (1) プロンプト 標的行動が出現しやすいように合図や指示、ヒントを出すこと (例) 標的行動が出現しやすいように合図や指示、ヒントを出すこと  (例) 「おはよう」という挨拶が標的の場合:   「こんにちはじゃなくて…」 幼稚園、保育園などで、かたづける場所に、そのものの絵を貼っておく 字を学習する時、薄い点線をなぞらせる

先行条件の与え方 (2) フェイディング 標的行動が身につくにつれて プロンプトを段階的に少なくしていくこと (例)「これは名詞ですか」      「これは人やものや場所の名前ですか」      「思い出してごらん。人、もの、場所だよ」     「ルールを思い出してごらん」      プロンプトなし

サブメッセージ3.4 標的行動は待つだけでは生じない。 ヒントをうまく使おう

メインメッセージ3 ほめることは学習の支え ほめ方を考えよう