「統合と解釈」を考える.

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「統合と解釈」を考える

→複数の諸要素が相互に結合し,単一の全体性を獲得する過程   一般的に言われていることとして・・・ ・統合とは? →複数の諸要素が相互に結合し,単一の全体性を獲得する過程

一般的な解釈とは? 言葉や文章の意味・内容を解きほぐして明らかにすること。また、その説明。「徒然草を解釈する」「英文解釈」。 物事や人の言動などについて、自分なりに考え理解すること。

リハ領域における「統合と解釈」 これまで「考察」「問題点の抽出」「焦点化」など言われてきた 評価の結果と目の前の患者さんの問題点を結びつけるプロセス 実際の動きと検査結果を結びつける作業 筆者なりの解釈としては 「評価で得られた情報を整理し、その人固有の動きや反応などをまとめ」「出てきたことが何を意味するのかを理解し表現する」作業

「統合と解釈」の実情(の一部)  いくつかの発表を長い間見てきたが、これまで何故か「考察」=問題点探しや「できないこと」ピックアップになりがちで、「人間作業モデル」でも述べられている個人の「意思」決定による制限といった表現に届かないことが多かった。  教育内でもちょっと前から人間作業モデルを中心とした個人理解の動きは出てきているが、特に現場での受け止め方や理解のされ方はまちまちである。

・OTの教育においても実習指導の要綱では「統合と解釈」は名称のみで、養成校での教え方や程度もバラバラ ・実習課題である「レポートの書式」そのものも問題。書式から「情報収集」→「治療場面の観察」→「評価」→「統合と解釈」→「治療計画」と順序立てて実習が進行されがちである。 これが実習指導を困難にさせる一要因となっていると思っている(あくまで一要因)。

最近の学生の症例発表を聞くと、ICFの「生活機能」部分の表現主体で、「背景因子」、特に個人因子の中の「価値観」「ライフスタイル」部分へ触れている感が乏しい。 治療計画においても学生の価値観や視点でまとめられてしまっていることが多い。                ↓ リハビリテーションは当事者のためのものである。当事者中心に置くリハビリテーションの為に背景因子をきちんと意識する必要がある。

たぶん現場での現実的なOT評価 ①毎日観察から治療計画まで行う。可能であればその場で必要に応じて治療計画というか、関わりも変化させる ②セラピストの行動に対する対象の反応からさらに適切な治療領域(スタッフの関わり役割、作業の使い方、環境セッティングなど)を考える。 ③①、②のサイクルを、対象と会うたびに繰り返し行い、より適切な治療領域に高め続ける

このサイクルを繰り返す中で、おそらく「場面は違っても同じような理由で起こってそうな他の場面」というものが見えてくると思う。 そういった複数の活動や参加場面において、たとえ取組内容や場面等が違っても同種の反応(活動や参加の仕方、拘り方)があった場合、「統合」出来るのではないか?

活動や参加が「統合」出来ることの意味 活動や参加場面が違っても、同じ目的や動機を以て取り組んでいる可能性がある 活動や参加を「統合」出来るということは、その目的や動機自体に基づいた行動の傾向をまとめるということになる。 それはつまり、ICFにおける個人因子に基づいた行動のまとめということにもなるのではないか(と考えている)

ICFを思い出して

ココで個人因子に含まれる言葉として[ライフスタイル」という言葉が出てくる。これは「生き方」を指し、習慣や人生観・価値観、宗教など自分がどう生きるか、生きているか、ということです。 また人生は選択の連続です。朝ごはんを食べるかどうか、何時に眠るか、お金を使うかどうか……これらの選択をし続けたうえで成り立っているライフスタイルは、あなた自身をよく表しているものです。 (以上、コトバンクなど色んな所からまとめました)

ただ、ここで観察した事象を統合したものを指して「個人因子」というのは役不足である。 個人因子とは様々な「個人を構成する因子」といえるが、こと精神科においてはこの中の「ライフスタイルや価値観」の領域が重要と思われる。 「ライフスタイルや価値観」は動機になり、人の行動や選択の基になる部分である。第三者がこれを明確にするには行動のまとめや傾向=統合されたものから判断するしかない・・・と、思っている。この行為こそが「解釈」と考える。

OTにおける「解釈」とは 統合された事柄を「根拠」として、個人因子となりうること。 昔はこの部分こそ「考察」とよばれていた

統合と解釈の「陥りやすい事(問題)」 精神科の評価行為そのものが治療者を通して行われるので、治療者の価値観や視点がどうしても入る。その為の偏りも生じやすい。 治療者の主張が強くなると、自身の価値観や視点に当てはめる行為となりがち(治療者側の「あの人はこうに違いない」など)

問題を解消するために 他人が個人のことをあれこれと決める機会となることを自覚する。 個人の人生に関わる重要なことと認識する。 自身の価値観にとらわれない。 根拠、エビデンスを示すことのできる「解釈」を行う。

よりよい「統合」と「解釈」を行うために 前述のように、もともとOT評価の体制そのものに問題があり、よほど経験を積まないと、あの流れ惑わされずに「統合」していくことは難しい。 確信できる「統合」が行えれば「解釈」もまた説得力が高まり、仮説以上の重みも出る 評価したいポイントをきちんと絞り、場面が変わっても同じ視点(評価項目?)で見ること。

統合をやりやすくするためには? 自分の頭の中では「○○の場面と△△の場面では同じことが起こっている」と思うことがあるでしょうが、これこそが「統合」の入り口です。 統合出来る事に気付くということは、特定の参加や活動に対して個人が何を望んでいるかなど見ている証拠(ここは個人因子でもあり、ニードの部分でもある